標準のトランスポート・レイヤー・セキュリティ (TLS) 暗号化は、インターネット通信中にプライバシーを確保し、データの完全性を維持するために使用されるセキュリティプロトコルです。これは、パソコンで Web ブラウザを使用する場合やスマホでモバイルアプリを使用する際に、デバイスとWebサイト/アプリケーション間の接続を暗号化することで機能します。標準の TLS 暗号化は、現代のインターネット通信に不可欠です。
TLS 暗号化は機密性の高い情報を保護し、デジタルインタラクションに関与する当事者を認証します 。このような保護がなければ、個人も組織もリスクに対して脆弱になります。以下は、トランスポート・レイヤー・セキュリティがビジネスにとって欠かせない理由です。
機密データの保護 : このプロトコルは送信中にデータを暗号化する安全なトンネルを作成し、重要な情報が送信先に安全に到達できるようにします。
データの完全性を確保 : TLS は、情報が転送中に改ざんされたり、破損したりしていないことを確認します。これは、金融取引や法的契約、オンラインで交換されるその他の重要な記録において不可欠です。
サーバーの認証 : 暗号化によりサーバーの ID も検証し、通信を傍受する可能性がある中間者攻撃も防止できます。
顧客との信頼の構築 : セキュリティを優先することでブランドの評判が高まり、顧客はオンラインで取引をする際に自分の情報やトランザクションが保護されているという安心感が得られます。
規制へのコンプライアンス : 多くの業界には、消費者に関する機密性の高い情報を保護する法的義務があります。TLS は、自社で管理するデータを企業が保護するための要件を満たすのに役立ちます。
潜在的な SEO 効果 : 検索エンジンは、安全でセキュアな訪問者エクスペリエンスの印として HTTPS と TLS を認識します。このような望ましい評価により、検索結果での順位が上がり、サイトへのトラフィックが増加します。
盗聴の防止 : 暗号化により、企業と顧客の間の機密性の高いデジタル通信を攻撃者が密かに観察するリスクが大幅に軽減され、詐欺、ATO、個人情報の盗難などの脅威を抑えます。
eコマース機能の強化 : TLS は、オンライン購入や決済などの eコマース取引を保護するのに必要な安全性の高い接続を提供します。
TLS 暗号化では、対称暗号化と非対称暗号化の両方を使用してデバイスを安全に接続します。このプロセスはハンドシェイクから始まり、プライベートなデジタル通信の基盤を確立します。以下は各ステップの詳細です。
Client Hello : デバイスによって、サポートされている暗号スイートのリストがサーバーに送信されることでプロセスが開始されます。
Server Hello : サーバーはオプションを確認し、最も強力なプロトコルを選択します。この段階で、デジタル証明書も提供されます。
証明書の検証 : クライアントは、次のステップに進む前に証明書を検証し、サ ーバーの正当性を確認します。この重要なステップによって真正性が確保され、保護レイヤーが追加されます。
鍵の交換 : 暗号スイートに関して合意に達すると、両サイドによってセッション用の対称暗号鍵が生成されます。この鍵によってすべてのデータが暗号化され、機密性が保証されます。
完了 : デバイスとサーバーの両方がハンドシェイクの成功を確認し、暗号化されたトンネルが確立され、セキュアな通信が可能になります。
この時点から、TLS はセッション キーを使用してメッセージを継続的に暗号化および復号化し、すべての通信を非公開の状態に維持して転送中に部外者による機密情報へのアクセスや改ざんが発生するのを防ぎます。
TLS、SSL、HTTPS は同じ意味で使用されることがよくありますが、オンライン通信のセキュリティを確保する上で、それぞれが独自の役割を果たしながら密接に関係しています。自社のアプリケーションやWebサイトに適切なセキュリティプロトコルを選択する際、それらの違いを理解することが重要です。分かりやすいよう、各テクノロジーについて詳しく見てみましょう。
TLS は現在、暗号化の業界標準です。このプロトコルには以下の主な特徴があります。
最新の TLS バージョンは 1.3 で、暗号化方式の強化と過去の脆弱性の修正に重点が置かれています。
古いプロトコルに比べ、最新のセキュリティとパフォーマンスの向上を提供します。
TLS は、コンピューター、スマホ、その他のシステムなど、デバイス間の接続を暗号化します。
この暗号化技術は、TLS に先行する初期のセキュリティプロトコルです。以下は主な特徴です。
SSL によってインターネットの暗号化が可能になりましたが、セキュリティ上の欠陥により、現状に則していません。
そのため、強力なプライバシーとデータの完全性を保護することが求められる現代のシステムでは使用されていません。
より優れた暗号化機能を備える TLS の台頭を受け、SSL は推奨されなくなりました。
以下は HTTPS プロトコルの主な特徴です。
このプロトコルにより、インターネット上のデバイス間で、Web ページのコンテンツや API コールなどのドキュメントを暗号化して送信できるようになります。
TLS と SSL を組み込み、標準の HTTP 通信に暗号化を追加します。
ブラウザの HTTPS URL と鍵アイコンにより、Webサイトが安全に接続されていることを確認できます。
TLS 証明書は、Webサイトの ID を認証し、サーバーとクライアント間に暗号化された安全な接続を確立するデジタルドキュメントです。以下は発行される主な証明書の種類です。
DV (ドメイン検証) : このタイプの 証明書はドメインの所有権のみを証明します。
OV (組織検証) : このタイプの証明書は事業名など企業に関する詳細を証明します。
EV (拡張検証) : 上記に加えて組織の実体を徹底的に審査し、最もレベルの高い認証を提供します。
各証明書には、その有効性を示すためにデジタル署名された以下の情報が含まれます。
Webサイトのドメイン名
発行認証局 (CA) : 証明書要求を徹底的に確認し、署名されたデジタル文書を発行する責任を負う第三者機関
有効期限
Webサイトの公開暗号鍵
デジタル通信の堅牢なセキュリティを確保するには、TLS を適切に実装することが重要です。セットアッププロセスには、サイトの ID の検証と、プライベートなデータ交 換を可能にする暗号化されたチャンネルの確立が含まれます。複雑に思えるかもしれませんが、各手順を体系的に実行することで、あらゆる規模の組織が TLS を適切に導入できます。
以下は実装に必要な主なステップです。
さまざまな CA を調査し、ドメイン検証または拡張検証など、要件を満たす証明書タイプを提供する CA を見つけます。検証プロセス、価格オプション、安全な顧客サービスの実績などの要素を考慮します。
CSR には、公開暗号化コードやドメイン名などの詳細が含まれます。秘密鍵はサーバー上で安全に分離され、適切に保護されます。これらの詳細の機密性を維持し、CSR 作成プロセス中にこの機密データが公開されないようにする必要があります。
CA は証明書を発行する前に、ドメインを管理していることを確認します。このプロセスには、DNS レコードの追加、ドメインへのファイルのアップロード、電子メールによる所有権の 確認が含まれる場合があります。所有権検証の要件を満たすため、慎重に指示に従います。
インストール方法はサーバーソフトウェアによって異なります。証明書を正しくインストールするため、プラットフォーム (Apache、Nginx、IIS など) のドキュメントを確認してください。
新しい証明書を使用し、安全な接続を確立できるように するため、サーバーの設定を更新します。リダイレクトを設定してすべての HTTP リクエストが自動的に HTTPS に切り替わるようにし、暗号化された TLS 接続経由でのみデータ転送が行われるようにすることでユーザーを保護します。
SSL Labs などの検証サービスを使用して証明書が正しくインストールされていることを確認し、設定の問題や脆弱性がないかチェックします。これにより、TLS 暗号化が意図したとおりに機能し、通信が保護されることが保証されます。セキュリティをさらに強化するため、公開前に特定された問題すべてに対処します。
有効期限が切れる前に証明書を更新するようにシステムを設定し、セキュリティが継続的かつ自動的に維持されるようにします。このプロセスを自動化するためのガイダンスについては、サーバーのドキュメントを参照してください。
サーバー設定に HSTS ヘッダーを追加し、安全なドメイン接続にのみ HTTPS を使用するようにブラウザに指示します。この追加の保護レイヤーにより、暗号化されていない HTTP トラフィックを防ぎ、セキュリティを強化できます。
標準の TLS 暗号化は、オンライン通信を保護し、機密データの交換におけるプライバシーと完全性を確保する上で不可欠です。しかし、暗号化の維持には、セットアップや管理、定期的なセキュリティ更新などに関連する課題が伴う場合があります。
Fastly は、柔軟に TLS を設定できるツールを提供するこ とでこれらの課題に大規模に対処し、ユーザーによる高度なセキュリティポリシーの定義を可能にしました。Fastly のプラットフォームは、グローバルにクライアントとサーバー間のトラフィックを継続的に暗号化し、毎日行われる無数の接続の証明書とプロトコルを管理する負担を軽減します。以下は主な機能とメリットです。
Fastly の認証局「Certainly」: 同プラットフォームは信頼性が高く有効期限の短い証明書を提供することで潜在的な脅威への露出を最小限に抑え、セキュリティを強化します。
Fastly TLS : お客様のニーズに合わせてカスタマイズされた、完全なマネージドソリューションによって、手動設定の複雑さを伴わないコントロールが可能になります。
Platform TLS : ハンズオンアプローチ を好む場合でも、ハンズオフアプローチを好む場合でも、このオプションでは、必要に応じてセキュリティを実装できるコントロールとカスタマイズが可能です。
コンシェルジュ TLS : 複雑な要件を抱える大企業向けのこの機能は、専門的なプレミアムサポートを提供します。
自動更新 : 自動化されたワークフローによって、定期的に証明書をメンテナンスする必要がなくなり、手動介入なしで継続的な保護が可能になります。
パフォーマンス最適化 : Fastly では、TLS によって速度が低下することは決してありません。暗号化された接続が維持され、プライバシーが保護された状態で、ユーザーはスムーズで高速なエクスペリエンスを楽しむことができます。
幅広いプロトコルのサポート : TLS 1.3 や Mutual TLS (mTLS) を含む、最新の標準がもたらすメリットを活用できます。
スケーラビリティ : Fastly では、セキュリティギャップが発生することなく、簡単にスケールアップすることが可能です。この適応性の高いスケーラブルなソリューションにより、サイトやトラフィックの成長に伴う新たな需要や脅威に対処できます。
完全なマネージドサービスからハンズオンオプションまで、Fastly の TLS ソリューショ ンのポートフォリオにご興味がおありの場合は、早速、無料デモをリクエストしてください。