KV ストアとは何か?なぜ重要か?

クラウドコストが上昇し続け、消費者が応答性の高いエクスペリエンスを標準として期待する中、組織はレイテンシを削減し、パブリッククラウド関連の支出を減らすためにエッジコンピューティングに注目しています。 

しかし、従来のデータベースは複雑すぎてリソースを大量に消費するため、エッジアプリケーションには適さないことがよくあります。エッジ処理ソリューションが最大限の価値を実現するには、アプリケーションがセントラルクラウドまたはオリジンサーバーへのクエリにあまり依存しないようにする必要があります。 

ここで KV ストアが役に立ちます。リレーショナルデータベースの代わりに使用できる KV ストアは、スピード、スケーラビリティ、低レイテンシを提供します。以下では、このタイプのデータストアがどのようにエッジコンピューティングをサポートするかを解説し、ユーザーに素晴らしいエクスペリエンスを提供するのに役立つ理由をご説明します。

キーバリューストアとは?

キーバリューストアは、テーブルベースの構造ではなく、キーと値のペアの形式でデータを保存できる特殊な NOSQL データベースの一種です。このデータ管理パラダイムは、コンピューターサイエンスでは「連想配列」または「ディクショナリ」とも呼ばれます。 

アプリケーションは、「キー」と呼ばれる一意の識別子を提供することでレコードを取得します。キーは通常、数字または文字から成る一意の文字列として提供され、値には1つまたは複数のフィールドが含まれます。

KV ストアの構造はリレーショナルデータベースよりもメモリの使用が少なく、より高い柔軟性を備え、事前定義されたスキーマや構造化されたテーブルを必要としません。これらのデータコンテナでは、さまざまなデータタイプを1つの値に自由に保存できます。このようなミニマリズムの構造に加え、複雑な SQL クエリが不要なことから、KV ストアは非常に高速な読み取りと書き込みを可能にし、効率的なスケーラビリティを必要とする高性能アプリケーションに最適です。 

KV ストアがビジネスにとって重要な理由

KV ストアは、アプリケーションの応答性を大幅に向上させ、オリジンサーバーの負荷を軽減し、データの保存と管理を簡素化できるため、ビジネスにとって非常に重要です。このデータへのアプローチを通じて、より広い範囲で開発者はユーザーの期待を超える独自のソリューションを構築できるようになります。組織がデータ戦略に KV ストアを組み込むケースが増えている主な理由として以下が挙げられます。 

  • アプリケーションパフォーマンスの大幅な強化

アプリケーションがデータを非常に高速に取得できるようになり、トラフィック量が多い場合でも迅速に応答できます。 

  • 簡単なスケーリング

シャーディングがデフォルトでサポートされているため、データを複数のサーバーまたはノードに簡単に分散できます。これにより、パフォーマンスを損なうことなく迅速な水平スケーリングが可能になります。 

  • データモデルの整理

データベース設計の複雑さが軽減されるため、メンテナンスと開発をより迅速かつ低コストで行えます。 

  • 可用性の向上

データを複数のサーバーに複製することによって継続的なアクセスを確保し、ダウンタイムを防ぎます

  • リアルタイムアプリケーションの実現

迅速なデータの更新と取得により、エッジでのリアルタイム処理が可能になります。

  • リソース使用の最適化

プレースホルダー値や厳格なスキーマ、リソースを大量に消費するテーブル結合が無いため、システムの使用が大幅に減り、ハードウェアと運用コストを削減できます。

  • 柔軟性の高いスキーマの活用

柔軟なスキーマは、画像や動画、XML ドキュメントなどの構造化データと非構造化データをサポートし、既存のフレームワークに支障をきたすことなく、変化するデータのニーズに適応します。

  • キャッシュメカニズムの強化

頻繁に使用される情報への高速なインメモリデータアクセスを有効にし、パフォーマンスを強化できます。

KV ストアと従来型データベースの比較

どのアプローチがユースケースに適しているかを判断するには、KV ストアと従来のリレーショナルデータベースの違いを理解することが重要です。各データベースのタイプには、それぞれ異なるメリットと制約があります。以下の表には、それぞれを特徴づける要因がまとめられています。  

特徴

キーバリューストア

従来型データベース

定義

キーと値のペアでデータを保存する非リレーショナルデータベース 

テーブルと関係に基づく構造化されたリレーショナルデータベース

データモデル

データは値に保存され、キーと呼ばれる一意の識別子に関連付けられます

行、列、関係を含む表形式のデータ

スキーマ

固定スキーマを必要とせず、データの変化に適応可能

事前定義されたスキーマ

スケーラビリティ

追加ノードによる強力な水平スケーリングをサポート

垂直スケーリングに向いています (単一のサーバーをアップグレード)

パフォーマンス

高速な読み取り/書き込み、低オーバーヘッド

レイテンシが長くなる傾向がある一方、優れたコントロール性を提供

一貫性

通常、最終的に一貫性を提供(遅延があるものの一貫性を保証)

高い一貫性をサポート

クエリ機能

キーベースの検索と、get、put、delete などの基本コマンドに限られ、フィルタリングも制限されています

テーブル結合を含む高度なクエリ機能を提供

KV ストアのユースケース7選

KV ストアは、以下のようにスピードやスケーラビリティ、シンプルさを必要とするアプリケーションに理想的です。

  1. キャッシュシステム : 非常に高速な読み取り (6ミリ秒レベルの低レイテンシ) が可能になるため、キャッシュなどの読み取り負荷の高いアプリケーションに最適です。KV ストアは頻繁に要求されるデータをエッジに保持することで、データベースの負荷を軽減し、応答速度を向上させます。

  2. セッション管理 :レイテンシを必要とする Web アプリケーションのユーザーセッション情報を維持できます。 

  3. リアルタイム分析 : 高速なデータストリームを処理および保存し、即時の分析とレポートを可能にします。 

  4. モノのインターネット (IoT) のデータ保存 : 高速な読み取り/書き込み作業により、接続されたデバイスから送信される大量のセンサーデータを管理できます。 

  5. ユーザー設定の保存 : ユーザーの設定や好みに関するデータの保存と取得により、パーソナライズされたエクスペリエンスを実現できます。

  6. 分散ロック : 分散ロックを実装し、分散システム内の共有リソースへのアクセスを同期できます。

  7. 高速ログ : ログデータを高速でキャプチャして保存し、システムのモニタリングとトラブルシューティングに役立てられます。

Fastly の KV ストアソリューションが優れている理由

KV ストアは、驚異的なスピード、高度なスケーラビリティ、柔軟な構造を提供する動的なデータ管理ソリューションです。データを一意のキーを介してアクセスできる値に割り当てることによって、データモデルを簡素化し、リクエストの処理を効率化できます。