従来の CDN の半分のコストで Ticketmaster をエッジで配信

次世代の Ticketmaster プラットフォーム

Ticketmaster は、他社に先んじて一貫性のあるデジタルエクスペリエンスをお客様に提供するため、テクノロジースタックの最新化に投資し、ユーザーエクスペリエンスの向上に注力しました。2019年に Ticketmaster チームは、15年以上かけて構築したコンテンツ配信ルールを、従来の CDN プロバイダーから Fastly に3か月で移行しました。

技術移行に伴う難しい決断

20年ほど前に CDN が登場した際、Ticketmaster はいち早くこれを採用しましたが、従来のテクノロジーをベースに CDN を構築したため移行が困難でした。2019年、同社は15年以上も前に作成されたルールを進化させようと努力しましたが、その多くは文書化されていませんでした。当時、Ticketmaster のチームは40以上の異なるプロパティで80以上のホスト名を使用し、16もの異なるプロダクトチームのニーズをサポートしていました。そのため、Fastly のエッジクラウドプラットフォームテクノロジーの導入を検討した際、移行には12か月かかると予想しました。

Ticketmaster のチームと当時の CDN プロバイダーの付き合いは長年に及んでいたため、特定の設定が実装された理由など、さまざまな決定が行われた背景を理解するのが困難でした。そして、これらの決定に関わったスタッフのほとんどは、Todd Jimenez 氏が Fastly への移行プロジェクトに着手したころにはすでに退社していました。

開発チームのツールを強化してデジタルトランスフォーメーションの有機的な成長を促進

リフト & シフト

2019年、Ticketmaster では CDN プロバイダーのコストが増大しました。従来の CDN はブラックボックスで、設定、更新、管理にプロフェッショナルサービスを必要とし、そのコストがかさんだためです。また、チームが変更を実装するのに長い時間がかかっていました。そこで同社は、最近買収したブランドを含む、同社のすべてのブランド向けに CDN を簡単に管理できる方法を必要としていました。

迅速なロールバックと即時変更

Ticketmaster の開発者は、長年の配信ニーズを確実にサポートできる CDN を求めていました。それは、変更とロールバックを迅速に行うことができ、自分たちで設定が可能な、従来の CDN のテクノロジーを超えるものでなければなりませんでした。従来の CDN のプロダクトでは、これらのニーズを満たすことができなかったため、契約の更新時期が近づいた際、他のソリューションを検討し始めました。

Ticketmaster は複数のオプションを検討しましたが、Fastly のモジュラー設計がもたらす柔軟性と統合のしやすさが、移行を成功させる鍵となりました。

4倍の速さを実現 : 20年以上かけて構築されたコードを3か月で移行

Fastly プラットフォームの使いやすさ、柔軟性、パワーを活かし、Ticketmaster は当初の計画よりもはるかに早く Fastly への移行作業を完了しました。また、Fastly のサポートチームと Ticketmaster の開発者が Slack で直接やり取りし、あらゆる問題を迅速に解決できたことも移行時間の短縮につながりました。これらが功を奏し、当初12か月かかるとみられていた移行作業を3か月で終えることができたのです。

Fastly に移行して以来、従来の CDN と比較してコストが50%削減されました。さらに、Ticketmaster の開発者は Fastly のプラットフォームの柔軟性を活かしてより多くのことが可能になり、Fastly のダッシュボードまたは API を介して変更を簡単かつ瞬時に実装できるようになりました。コンテンツ配信のニーズの管理に要する開発者の作業時間を大幅に削減できたことは一目瞭然のメリットでした。またチームにとっては、さらに多くのサービスをエッジに移行することを検討するきっかけになりました。

開発チームとビジネスチーム間の摩擦を低減

モジュラー設計を採用し、豊富な機能を提供する Fastly のエッジクラウドプラットフォームを使用することで、Ticketmaster のコンテンツ配信/インフラストラクチャチームは、16の異なるビジネスユニットの多様な配信とセキュリティのニーズをサポートし、必要なテクノロジーを選択できます。ただ、Ticketmaster の開発者によると、作業のしやすさと自社スタックの他のテクノロジーとうまく連携できることが Fastly を選ぶ決め手となったそうです。

Fastly のリアルタイムログストリーミングは、複数のビジネスユニットで共通して使用されている機能のひとつです。Fastly は syslog 形式を使用しているため、Ticketmaster の各ビジネスユニットは、ログを Splunk や BigQuery などのツールに簡単に統合することができます。この相互運用性はビジネスの推進力となる機能というわけではありませんが、その価値についてはすべてのチームが認めています。また、ログをリアルタイムで可視化することで、チームはパフォーマンスの管理に集中し、あらゆる問題の原因を迅速に特定し、対応することができます。

Todd 氏は移行作業を振り返り、次のようにコメントしています。「共有された Slack チャンネルを通じて Fastly のチームとやり取りできたのは、サポートの観点から見てすばらしいことです。サポートに簡単にアクセスできるかどうかが、多くの企業にとってハードルとなっています。私の場合、サポートに簡単にアクセスできて確実に仕事が楽になりました。質問がある場合、スタッフは Fastly のチームに気軽に連絡を取ることができます。『今、これをチェックしているんですけど、どう思いますか ?』このような共同作業的な会話が頻繁に行われています」