北欧を拠点に230件のホテル、122件のレストラン、21件のスパを運営するホスピタリティ企業 Strawberry は、エキサイティングで楽しく、思い出に残る体験の提供を通じて顧客の人生に彩りを添えています。1989年に設立され、以前は「Nordic Choice Hotels」の名で親しまれた同社では、35年の歴史を誇る大手北欧企業としての名声と忠実な顧客ベースの将来が、大規模なリブランディングとWebサイトのマイグレーションの成功にかかっていました。
strawberryhotels.com
業界 : ホスピタリティ
本拠地 : ノルウェー、オスロ
利用開始 : 2023年
主な利用機能
グローバル配信ネットワーク (CDN)
リアルタイムキャッシュ
ロードバランサー
Next-Gen WAF
DDoS 対策
レート制限
エンタープライズサポート
Webサイトのマイグレーションは、ベストな状態で臨んでも簡単にはいかないことで有名です。まして輝かしい評判を維持しつつ、ユーザーエクスペリエンスの強化に向けて抜本的なリブランディングとサイトのマイグレーションを同時に行う場合、リスクはさらに高まります。
北欧のホテルおよびサービス産業にて伝説を築いてきた Nordic Choice Hotels が2023年に、従来のホテルグループのサービスを新たな領域に拡大する野心的な旅行ブランド「Strawberry」として変身を遂げた際、同社はまさにこの壮大な挑戦に臨みました。同ブランドのサービスには現在、飲食、ショッピング、イベントに加え、コーヒーとスイーツを囲みながら会話を楽しむスウェーデンのコーヒータイム「フィーカ」も含まれます。
何千万回にも及ぶオーガニックな SERP (検索結果ページ) での表示が年間10億 USD の売り上げと1万8,000人のスタッフを支えている Strawberry は、モノリシックなオンプレミスプラットフォームから柔軟性の高いクラウドベースの未来へのスムーズな移行を切望していました。
そこで Strawberry は Fastly CDN と Next-Gen WAF によってパフォーマンスとセキュリティを強化したところ、ランディングページの読み込みが40%加速し、ユーザーエクスペリエンスが66%向上するなど、素晴らしい成果を達成しました。
一方、Strawberry の Fastly への移行は、こうした各パーツを合わせた以上のメリットをもたらしたのです。そこで、このプロジェクトの課題、ソリューション、予想外のメリットについて詳しくご紹介することに価値があると私たちは考えました。
Strawberry のレガシーセットアップでは、IT パートナーが管理する物理ハードウェア上に構築された F5 BIG-IP ソリューションが使用され、このパートナーはプロキシとトラフィックルーティングのルールを含むプラットフォームの設定も担当していました。
しかし、非効率的で古いキャッシュシステムが大きな問題と化していました。ページの読み込み時間における数ミリ秒の改善がユーザーエクスペリエンスとコンバージョン率の飛躍につながる eコマースの領域において、パフォーマンスに深刻な支障をもたらしていたのです。
そのため、Strawberry は新しい (WAF を備えた) CDN を導入することで、レガシー Web サーバーのライフサイクルを延長し、完全な交換が必要になるまでしばらく時間を稼ぎたいと考えました。
結果的に Strawberry は以下の必須条件を含む希望リストを作成しました。
これらの技術的基準を満たすことが不可欠でしたが、実践的なサポートの有無と企業文化の一致も考慮すべき重要なポイントでした。Strawberry は、独立して作業しがちな大手テック企業に任せるよりも、専門家チームと協力し合いながら慎重を要するマイグレーションに取り組むことを望んでいたのです。
Fastly のセールスチームは当初、候補のベンダーの中で最も好ましいアプローチを見せ、業界をリードする技術とソフトスキルの組み合わせが最終的に功を奏しました。契約が完了したところで、Fastly の Senior Security Sales Engineer を務める Nils Boman が加わり、Strawberry のWeb開発を担当する Christian Ek 氏がプロジェクトを進めるのをサポートしました。
Strawberry は、2023年3月8日に新しいプラットフォームの最小限の初期設定をプッシュしました。同プラットフォームの稼働開始の期限は5月20日に設定されました。そして非常に迅速かつスムーズなマイグレーションを経て、実際に5月18日までに稼働できたのでした。
Fastly のプラットフォームは GitHub、Terraform、Datadog、Contentful CMS と連動します。当初のプロジェクトの目的は、リブランディングと古いオンプレミスのロードバランサーから移行してパフォーマンスとセキュリティを強化することにありましたが、Fastly とのパートナーシップは予想以上の価値をもたらしました。
Strawberry の Martin Belak 氏は「多くの予想外のメリットを得ることができた」と述べています。「実際にすべてを Terraform と GitHub に置いて3つの異なる環境で新しいバージョンを簡単にデプロイできるようになりました。そして設定やデプロイ、コードを自ら直接管理できるようになりました。ロードバランサーはプロキシで、トラフィックのルーティングはアプリケーションのきわめて重要な部分です。スマートな方法でトラフィックを新しいプラットフォームにルーティングし、古い CMS の一つひとつの機能を移行させるうえで、これらのルールをコントロールできることが欠かせませんでした」(Belak 氏)。
課題に直面しながらも、Strawberry の Fastly とのパートナシップはすでに優れた成果をもたらしています。マイグレーションを適切に行わないと、オーガニックトラフィックを妨害しかねません。一方、5月に新しいサイトを稼働させて以来、Strawberry はすでに Google 経由で244万人のオーガニックビジター数を記録し、SERP に同社のページまたはリンクが6,200万回表示されました。
リブランディングの最中に __DDoS 攻撃__によってリソースや評判が損なわれる可能性があったため、マイグレーションの期間中、セキュリティに対する意識がこれまで以上に高まっていました。そこで Strawberry は Fastly Next-Gen WAF をブロックモードでまったく問題なくデプロイしました。Strawberry は強力な DDoS 保護に加え、__レート制限、リアルタイムデータや分かりやすく実用的なメトリクスへのアクセス__を含む予想外のメリットが得られ、攻撃を緩和するために即座に変更を実行することが容易になりました。
ホテルの空室情報をリアルタイムで配信している Strawberry には、キャッシュ不可能なエンドポイントがいくつかあり、クローラーやボットの影響を受ける可能性があります。しかし Fastly のレート制限機能により、迅速かつ効果的にこれらを無効化できるため、
オーガニックトラフィックとセキュリティを両立できます。次に、ユーザーエクスペリエンスがコンバージョンを促進することが知られていますが、マイグレーション後のパフォーマンスについて見てみましょ う。