PyPI と Fastly を通じて高速かつ信頼性の高いサービスをオープンソース開発者に提供

課題

Python Software Foundation (PSF) の小規模なチームは、Python コミュニティの何百万人ものユーザーが、必要なソフトウェアのダウンロード、コード、ドキュメントに確実にアクセスできるようにする必要があります。月間66ペタバイトのトラフィックが発生するなか、小さなエンジニアチームにとってこれは大変な仕事です。そこでこの作業を軽減するため、PSF は Fastly にサポートを求めました。

ソリューション

Fastly のグローバル CDN によって、501(c)(3) の非営利団体である PSF は限られたリソースを使い果たすことなく確実にサービスをスケールできるようになりました。PSF の Director of Infrastructure を務める Ee Durbin 氏が「指パッチンのごとくすぐにできるオンボーディング」と説明するように、PSF は迅速かつ簡単に Fastly CDN の使用を開始できました。Fastly によって Python Packace Index (PyPI) は99%のキャッシュヒット率を達成し、Fastly がスポンサーとして支援する CDN を通じて1.2兆件を超えるリクエストを処理しており、これは1秒当たり3万6,000件にあたります。これにより、80万人に上るユーザーは高速かつ安定したエクスペリエンスを得ることができます。一方 PSF にも、エネルギーや帯域、計算パワーの消費削減やデータ送信コストの節約といったメリットがもたらされました。その結果、2023年には PyPI で利用可能な50万件に及ぶプロジェクト (ファイル数1,000万以上) の合計ダウンロード数は2,840億を超えました。

Fast Forward プログラムを通じて PSF はリソースを最大化

PSF は Fast Forward プログラムを通じて Fastly を導入しました。同プログラムは、条件を満たすオープンソースプロジェクトやそれらを維持する非営利組織に無料でサービスを提供する Fastly の取り組みです。Fast Forward は、オープンかつ公平なインターネットの構築に最前線で取り組む人たちをサポートすることを目的とし、PSF は同プログラムのパートナーとして最適でした。

「Fastly は最小限の労力で効果の大きな結果が得られる素晴らしい方法を提供してくれます。Fastly のおかげでサービスに費やす時間とリソースが最小限で済むので、より多くのリソースを Python コミュニティに注ぐことが可能になりました」(Durbin 氏)。また PSF は、Fastly のオブジェクト・ストレージ・プロバイダーとのデータ転送におけるパートナーシップによる恩恵も受けられます。「このようなパートナーシップを利用することで、より有効にクレジットを管理できるようになりました。データ転送よりもユーザー向けの新しいサービスを稼働させてサポートすることにクレジットを使用しています」(Durbin 氏)。

開発を促進する Fastly Fiddle

Fastly によって PSF がユーザーにより簡単にデリバリーできるようになった理由のひとつに Fastly Fiddle があります。このブラウザベースのプロトタイプツールを使用することで、PSF チームは Fastly 環境で設定を試し、実装する前にどのように機能するかを確認できます。これにより迅速なテストが可能になり、問題の解決に費やされるエンジニアリング時間を削減できます。「Fastly Fiddle は、何かを解明しようとする際にいつも使用するツールです。進む方向について自信を持って決められる、あるいは何かが可能かどうかを判断できる唯一の方法です」(Durbin 氏)。

Fastly のセキュリティソリューションで PyPI のオープン性を維持しながら過負荷を回避

PyPI は認証なしで自由にアクセスできるため、悪意があるものや偶発的なものを含め、問題のあるトラフィックが発生しやすい状態にあります。PyPI が無関係なリクエストによって過負荷な状態になるのを回避しながらグローバルなユーザーコミュニティのためにサイトの可用性を維持できるよう、Fastly は PSF をサポートしています。「猛威を振るうボットや自動化プログラムを検出する Fastly のテクノロジーにとても感動しています。おかげでバックエンドを保護しながら、リソースをより賢く利用できるようになりました。これは帯域だけではなく、私たちが消費する電力や炭素も含まれます」(Durbin 氏)。

Fastly で実現する未来

PSF はスタックにおける Fastly の役割をさらに発展させることを計画しています。Durbin 氏によると、Compute を利用して自動化をより簡単に追加する方法や、DDoS 対策によって変化し続ける脅威の環境に適応する方法を PSF は模索しているといいます。「私たちの目標は単に自分たちのサービスを運用することだけではなく、Python コミュニティが PaaS (Platform-as-a-Service) 環境でサービスを実行できる場所を提供することにあります。Fastly が Fast Forward を通じて提供する無料サービスによってこれが可能になります」(Durbin 氏)

重要なポイント

Fastly の CDN とセキュリティソリューションにより、PSF はトラフィック管理よりも Python コミュニティへのサポートに専念できます。また、PSF は Fastly Forward プログラムに参加しているため、限られたリソースのより多くを組織のミッションの遂行に振り向けることができます。「この10年間、専任スタッフが長期間不在であったにもかかわらず、私たちのインフラストラクチャが質の高いサービスを提供できたのは、ひとえに Fastly のおかげです。Fastly はまさに私たちの守り神です」(Durbin 氏)。