リアルタイムジャーナリズムを支えるテクノロジー
インターネットの利用はこれまでになく増大し、特にニュース閲覧に関しては、その傾向は顕著になっています。オンラインメディアブランドに関わっている方であれば、読者がニュースイベントに関わる方法が変化してきていることに十分お気づきのことでしょう。
インターネットは臨機応変に変化するため、メディアサイトは進化のペースに遅れをとらぬよう対応しなくてはなりません。スマートフォンの普及によって、人々はニュース速報をリアルタイムで追うことができるようになりました。また、現在増加傾向にある市民ジャーナリズムによって、より多くの人が最新情報を求めて絶えずメディアサイトにアクセスし、ツイッターへの投稿や写真の撮影・検索、動画のストリーミングなどを行っています。
また、現在増加傾向にある市民ジャーナリズムによって、より多くの人が最新情報を求めて絶えずメディアサイトにアクセスし、ツイッターへの投稿や写真の撮影・検索、動画のストリーミングなどを行っています。ニュースパブリッシャーは、オンラインにて情報がアクセス・共有される驚異的な速度にどのように対応しているのでしょうか。多くのメディア企業は、読者の関心を維持し、激しい市場において生き残るために、すでにさまざまな戦略を導入しています。トップクラスの記者を採用することはもちろん重要ですが、企業はニュースサイクルのペースに対応することができるテクノロジーにも投資する必要があります。読者の役に立つプロダクトの構築を可能にする、俊敏性に優れたツールを、開発チームが自由に使える環境を提供することが重要です。最先端のコンテンツ配信ネットワーク
(CDN) は、開発チームが使用できる最も強力なツールの一つです。
コンテンツをリアルタイムで更新し続けることができる CDN は、メディアブランドにとって多大なメリットをもたらします。CDN は、トラフィックスパイク時でも Web パフォーマンスを最適化し、読者がコンテンツに瞬時にアクセスできるようにします。これによって、ニュースサイトは読者の高い期待 (および読み込みの遅さに対する低い許容度) に対応することが可能です。
そのためにも CDN は、サイトの稼働率とパフォーマンスを優先し、コンテンツを即時更新・配信する機能や、ログとパフォーマンス分析の可視性など、いくつかの重要な機能を備えていなければなりません。
今回は、リアルタイムジャーナリズムの時代において、Fastly の CDN がどのようにメディア業界のお客様によって活用されているかご紹介します。お客様のケーススタディは、こちらからご覧ください。
リアルタイムの報道で読者エクスペリエンスを向上
移り変わりの激しい最新のニュースに応じて、ヘッドライン、記事、画像、ストリーミング動画を随時更新できることは、メディア企業にとって重要なことです。実際のところ、これは口で言うほど容易なことではありません。これまで多くのメディア企業がサイトのコンテンツをキャッシュ・パージすることができず、数分 (または数時間) 前の古い記事を読者に提供せざるをえませんでした。
Fastly のインスタントパージ機能を使用することで、ニュースサイトは、変更に応じて古いコンテンツを150ミリ秒で削除することができるため 、読者は常に最新の情報にアクセスすることができます。The Guardian の Software Architect である Matthew O’Brien 氏は、Fastly のキャッシュ機能の重要性を指摘しています。このキャッシュ機能は、The Guardian にて CDN を導入するにあたって編集チームを説得するためにも不可欠な要素でした。
「速報が発生して数秒以内にサイトに掲載できなければ、ビジターは離脱してしまいます」と O’Brien 氏は述べています。「Fastly のおかげでサイトのページを数ミリ秒以内で更新することが可能になりました」
WIRED の Director of Engineering である Kathleen Vignos 氏は、Fastly のおかげで技術曲線の一歩先を歩き続けることができると述べています。「[Wired は] リアルタイムで更新を行う必要があります。ニュースは急に拡散されることがあるため、当社にとってコンテンツの配信プロセスを高度にコントロールできることが重要です」と Vignos 氏は話します。また、Fastly のような最先端 CDN は「パブリッシャーにとって欠かせないツールキットの一部」であると話しています。
「[Fastly を使うことで] リアルタイムで読者に情報を配信できるので、素晴らしいです」と Fast Company の Senior Developer である Harry Guillermo 氏は述べています。また、最先端の CDN、およびコンテン ツの変更を即座にプッシュする機能はジャーナリズムにとって非常に重要であり、「すべてのメディアサイトにとって必須であるべきだ」と考えています。「読者はリアルタイムでのコンテンツ配信を求めています。読者は待ってくれません。もし最新の CDN を採用していないメディア企業があるなら、その企業は読者に最高のエクスペリエンスを提供しているとは言えません」
注目度の高いイベントにもリアルタイムに対応
メディア企業の編集者は、コンテンツの更新に継続的に、そして迅速に対応するためにも、編集サイクルのスピードを維持しなくてはなりません。CDN を活用することで、タイプミスの修正やニュース速報のリアルタイムの更新など、バックエンドで行ったあらゆる変更を確実にサイトに反映させることができます。
Business Insider の VP of Engineering である Julie Sommerville 氏は、次のように述べています。「当社は Fastly のおかげで競争力を大きく高めることができます。 当社の編集プロセスは非常に反復的ですが、Fastly では変更を即座に実施およびデプロイできるので、読者は最新のコンテンツにアクセスすることができます」
メディア企業はまた、大きなニュースイベントの際に発生するアクセスの急上昇に対応するのに苦慮しています。たとえば、WIRED はファンが待ち望んでいた Apple Watch の発表時にライブブログをホストしました。これはテックコミュニティにとって重大イベントであったため、読者に最新情報をリアルタイムで提供することが非常に重要でした。
WIRED の Lead Engineer である Zack Tollman 氏は、次のように話しています。「Fastly は
Apple Watch の発表時に発生した大量のトラフィックを効率的に処理しました」WIRED は Fastly の stale-while-revalidate機能を利用して、キャッシュ済みコンテンツを更新しながら若干古いコンテンツを読者に配信することで、読者にエラーが表示されるのを回避しました。Tollman 氏は、stale-while-revalidate 機能は、Fastly の「最もエキサイティングな機能」の1つであると考えています。「この機能により、コンテンツを継続的に更新しながらライブブログを配信し、エラーを表示せずに読者に最新コンテンツを提供できました」
また2013年のジョージ・アレクサンダー・ルイ王子の誕生時には、The Guardian のトラフィックは1秒間に平均400件から1,000件以上にまで跳ね上がりました。Fastly は大量に発生する新規リクエストから The Guardian のオリジンサーバーを守り、世界中の読者に一貫したパフォーマンスを配信できるようサポートしました。The Guardian の Software Architect を勤める Matthew O’Brien 氏は、ニュースイベントを予測するのは難しいものの、Fastly
を利用することによってそれに応じた準備ができると述べています。
「エッジキャッシュプロバイダーとして Fastly を利用することで、オリジンの負荷を軽減しています。つまり、一度に大勢のビジターがサイトにアクセスしても、当社のサーバーには影響しないということです」
リアルタイムデータによるオーバーヘッドの削減
トラフィックスパイクからサイトを保護することで、メディアブランドは読者のエクスペリエンスを向上させると同時に、インフラコストを削減しながらスケールアップすることもできます。CDN を導入していない企業は、Web サイトやモバイルアプリのトラフィックの増加に対応するために追加のサーバーを検討する必要があります。
WIRED の Kathleen Vignos 氏は、Fastly を通じて WIRED をトラフィックスパイクを保護することで、インフラコストを増やすことなく可用性を維持することが可能であると話しています。「必要なときに新規サーバーを起動できるというクラウドベースのサーバーソリューションがありますが、Fastly が高トラフィックのイベントに対応してくれるので、そのようなイベント用に追加サーバーを管理する必要性をまったく感じません」
Fastly を使用することでメディア企業はコストを増やすことなくトラフィックを効果的に処理できますが、Upworthy の場合は更にコストを削減することに成功しました。Upworthy の Senior Engineer である Pavel Repin 氏は、Fastly を採用することで「無駄を大幅に削減することができた」と述べています。Upworthy は、Fastly のリアルタイムのパフォーマンス分析機能を利用することでサイトのパフォーマンスに関するインサイトを取得し、インフラストラクチャに必要な変更を実施し、スケールダウンを図ることができました。Upworthy の Senior Engineer である Ryan Resella 氏によると、その後オリジンの負荷が軽減され、Heroku dyno の使用量が半分になったことで、インフラコストを削減することに成功しました。
Upworthy は完全にクラウドベースのサービスにホストしているため、Fastly や他のクラウドプロバイダーのデータを可視化することで、チームはサイトの健全性を総合的に把握することができます。これにより、開発者は自社のサイトで何が起こっているのかを理解できるようになり、読者エクスペリエンスを最適化する方法を決定できるようになります。
Upworthy の元 CTO である Tim Jones 氏によると、Upworthy の社内モニタリングシステムとともに Fastly の分析機能を導入した主な理由は、「編集チームの日常業務を支援するだけでなく、サイトの健全性に関する指標を追跡し、技術的な問題のデバッグおよび診断を行うためです。Fastly ダッシュボードは非常に便利です。Fastly は、トラフィックスパイクや不安定時にシステムの状態をモニタリングする際に活用しているツールです」
リアルタイムのコメントとターゲティングされた最新情報
ユーザー生成コンテンツ (UGC) は、メディアブランドにとって非常に重要ですが、技術チームにとっては課題となる場合があります。従来の CDN では、UGS のように頻繁かつ予測不能に変化するコンテンツをキャッシュすることができないため、コンテンツのリクエストはオリジンに戻されてしまいます。Fastly を使用することでサイトはこの種のコンテンツをキャッシュできるため、読者はニュースの展開をリアルタイムでチェックし、ディスカッションに参加することができます。
その仕組みについて、ユースケースをご紹介します。Business Insider は、Fastly のサロゲートキーを使用して、ページの一部を個別にキャッシュするため、ページ全体をパージせずに最新のコメントを表示できます。Upworthy では、個々の URL やサイト全体を消去するのではなく、サロゲートキーを使用することで異なるオブジェクトを単一のキーでグループ化し (たとえば「環境」カテゴリーに関連するすべての記事、記者、トピックなど)、単一の API コールですべてまとめて期限切れにすることができます。
Upworthy の元 CTO である Tim Jones 氏は、次のように述べています。「サロゲートキーは非常に重要な機能です。この機能のおかげで投稿コンテ ンツを Fastly の競合プロダクトよりも効率よく消去できます」
パーソナライズされた UX
メディア企業は、Fastly のような最先端 CDN を採用することで、インターネット上でカスタマイズされたユーザーエクスペリエンスを期待するようになった読者に対して、パーソナライズされたコンテンツを提供することができます。これには、広告などの位置情報に基づくターゲティングされたコンテンツや、過去の閲覧傾向に基づく推奨記事などが含まれます。
たとえば Business Insider は、Fastly を使用することで、編集者、ログイン中の読者、ログインしていないゲストなど、さまざまな種類のユーザーにコンテンツを提供しています。
「Fastly を使用することで、ユーザーの種類に合わせたコンテンツをエッジから配信し、編集者に対して柔軟性の高い環境を確保しながら、読者に優れたエクスペリエンスを提供できるようになりました」と VP of Engineering の Julie Sommerville 氏は述べています。
Fast Company は、ログインした読者に過去に閲覧した記事や Fast Company.com 上での行動に基づいてカスタマイズされたお勧めのコンテンツを表示することで、サイトをさらにパーソナライズすることに取り組んでいます。読者はカスタムコンテンツにアクセスするためにログインする必要があるため、Fast Company は Fastly のトランスポートレイヤーセキュリティ (TLS) を使用してユーザーのログイン情報を確実に保護しています。Fast Company の Senior Developer である Harry Guillermo 氏は次のように話しています。「セキュリティ TLS による追加レイヤーを提供する必要があったのはそのためです。このレイヤーを CDN と組み合せることで、ユーザーにより近い場所でキャッシュしながら、個人情報を保護し、リアルタイムで読者にコンテンツを提供することができ、競争力の強化につながりました」Fast Company の Senior Developer である Harry Guillermo 氏は次のように話しています。「セキュリティ TLS による追加レイヤーを提供する必要があったのはそのためです。このレイヤーを CDN と組み合せることで、ユーザーにより近い場所でキャッシュしながら、個人情報を保護し、リアルタイムで読者にコンテンツを提供することができ、競争力の強化につながりました」
Fastly の目標は、リアルタイムジャーナリズムの時代に見合ったサイトの構築を支援 するだけでなく、読者が必要なときに必要なコンテンツに即座にアクセスできるようにすることです。お客様のケーススタディについて詳しくは、こちらをご覧ください。