Fastly プライバシーウィークがスタート

インターネットは、他者とのやりとりやビジネスの取引、学習、自己表現などを行える前例のない空間です。しかし、Web の基本的な仕組みには、私たちの行動や興味関心、個人的な関係までも同意なしに追跡できる監視技術が備わっています。 

こうしたテクノロジーによる情報漏洩のリスクを抑えたいと考える Web ユーザーのために、Fastly では比類のないグローバルスケールのインフラストラクチャを提供し、高いパフォーマンスを維持しながらプライバシーを保護しています。Fastly では、すべてのプロダクトにおいてプライバシーの確保に努めています。そこで、本日から来週にかけて Fastly プライバシーウィークを開催いたします。Web のプライバシー標準の革新や強化の実現に向けた Fastly の取り組みをご紹介します。

Fastly では、サードパーティによって観測されるトラフィック量を、もっとインターネットユーザーが決定できるべきだと考えています。そのため、Apple と連携して iCloud プライベートリレーの主要なインフラストラクチャの柱をサポートしていきます。Apple および何千万人もの iCloud ユーザーがすでに日々使用しているプライベートリレーは非常に優れたソリューションです。私たちは、こうしたソリューションをより多くのユーザーにお届けしたいと考え、Android ユーザー向けに 同様のプライバシー保護の提供を目的とする INVISV も支援しています。

以下は Privacy シリーズの第1回目です。また、プライバシーに関するさらに多くの情報を来週にかけてお届けします。具体的には、クリエイティブな開発者に愛されてきたプラットフォーム「Glitch」 の買収が、Glitch のプライバシーポリシーの強化につながった話などをご紹介します。ぜひご覧ください。

第1回 : モバイルネットワークのプライバシー : INVISV と Fastly が連携してネットワーク・プライバシー・サービスをリリース

iOS 向けの Apple iCloud プライベートリレーに加えて、Android 向けに INVISV リレーがリリースされたことにより、2つの主要なモバイルプラットフォームにおいて、重要なインターネットプライバシー保護を確保できるようになりました。どちらも Fastly のグローバル・プライバシー・プロキシ・インフラストラクチャを使用しています。undefined

プライバシーとは、他から見られないことを意味します。トラフィックの送受信を他者に任せる必要のあるインターネットにおいて、これは何より重要なポイントです。

私たちはインターネットを可能な限り素晴らしい環境にすることを目指しています。その一環として、すべてのユーザーがインターネット使用時の個人情報の公開範囲を管理できることが理想であると考えています。また、インターネット全体をアップグレードして安全性を強化し、誰もが簡単かつ安全に使用できるようになる必要があり、Fastly はその実現において重大な役割を担っていると信じています。私たちは、テクノロジースタックを通じてイノベーションを積極的にサポートし、技術の進歩をプロダクトやインフラストラクチャに変換することで、それらを使用する世界中の優れた企業と団結してユーザーを守るという信念に基づき活動しています。現在、最新のコミュニケーションツールを活用するユーザーにとって、プライバシー保護はこれまで以上に難しい問題ですが、だからこそ、その重要性が増しているのです。

この度 Fastly は、インターネットでユーザーのメタデータを保護するアプリ/サービスの「リレー」、およびそれを利用する新しい種類のモバイルプライバシーサービス「Pretty Good Phone Privacy」のリリースにおいて INVISV とパートナーシップを締結したことをご報告いたします。Fastly は高速かつ安全性の高いプライバシー・プロキシ・インフラストラクチャを使用して、このリレーサービスの一角を担っています。

INVISV リレーとは

インターネットに接続するには、デバイスが IP アドレスを所有・使用する必要があり、すべての通信にはユーザーの IP アドレスに加えて、アクセスするサイトの名前もしくは IP アドレスが含まれます。しかし、こうした識別子は、ネットワークプロバイダーや接続先のサイト、アクセスするサイトに埋め込まれたサードパーティサイトなど、ネットワーク上の多くのエンティティに筒抜けになっています。これにより、ネットワークオペレーター、プライマリサイト、サードパーティサイトは、ユーザーの ID およびアクセス先のサイトを確認することが可能になり、結果として個人情報の売買を助長させています。

そこで誕生したのが INVISV による Android 向けの新しいモバイルプライバシーサービス、リレーです。リレーは Fastlyプライバシープロキシインフラストラクチャを使用して構築されており、Wi-Fi およびモバイル接続でインターネットにアクセスする際に、モバイルデバイスを使用するユーザーのプライバシーを保護します。リレーを使用すると、上記で説明した筒抜けの情報がユーザー以外には見えなくなります。アーキテクチャにおいてこれは重要な点です。VPN とは異なり、リレーのアーキテクチャはundefinedプライバシーを念頭に置いて設計されています。iCloud プライベートリレーに似たデュアルホップアーキテクチャを用いたリレーでは、INVISV も Fastly も、ユーザーの識別子をインターネットトラフィックと関連付けることはできません。

リレーは、ユーザーが信頼できるプライバシー保護を実現します。これは INVISV や Fastly を信頼して個人情報を預けるからではなく、基盤となる技術により、INVISV、Fastly、ネットワークプロバイダー、プライマリサイト、サードパーティのいずれも独自に個人情報を得ることができなくなるからです。これは強力かつ革新的な技術と言えるでしょう。

INVISV は単なるスタートアップ企業ではありません。長年、スタック全体にわたるネットワークとセキュリティの新しいソリューションを構築してきたネットワークセキュリティの専門家である、Barath Raghavan 氏と Paul Schmitt によって創設されました。INVISV は一般のユーザーや使用状況に適した最先端のプライバシー技術を構築し、IT 業界に革命を起こしています。

INVISV リレーにおける Fastly のプライバシー・プロキシ・インフラストラクチャの役割

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Fastly のインフラストラクチャは、インターネット上のあらゆる場所でサービスを提供できるよう構築されています。世界中に配信拠点を構え、きめ細やかに調整されたソフトウェアスタックを擁する Fastly は、インターネット業界の主要なサービス企業の多くに、レイテンシが極めて少なく、パフォーマンスの高いソリューションを提供してきました。

INVISV ユーザーがリレーを通じてインターネットにアクセスする場合、ユーザーのデバイスは、デバイスから (ユーザーの IP アドレスをマスクする) INVISV のインフラストラクチャ経由で、近くの Fastly POP で動作する Fastly のプライバシー・プロキシ・インフラストラクチャまで、ネスト化され TLS 暗号化で保護されたネットワーク接続を確立します。ユーザーのデバイスは Fastly のプロキシに Webサイトなどのアクセス先サービスへの接続を指示してから、これを通じて別の TLS 接続を確立し、デバイスからサービスまでのエンドツーエンドの TLS 暗号化を実現します。その後、データは通常通り移動しますが、INVISV も Fastly も通信の内容や確立された各接続のソースまたはアクセス先を知ることはありません。

Fastly では、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えながらプライバシーを提供できるよう努めてきました。これこそ私たちが構築したいと考える、高速かつレスポンシブで、プライバシーが保護されたインターネットです。Fastly では、私たちが理想とするインターネットの実現を可能にする基盤となるテクノロジーの構築を続けます。undefined

今後の展望

Fastly は、インターネットの世界において新しいプライバシーおよびセキュリティ技術の最前線に立てることを嬉しく思います。今後も、INVISV とのパートナーシップやプライバシー保護を実現する一連の Fastly サービスに関する情報をお届けしていきます。

この記事は、プライバシーに関するプラクティスやテクノロジーをインターネットの構造に統合する Fastly の取り組みをご紹介する「プライバシーウィーク」の一環として書かれたものです。undefined

Jana Iyengar
Infrastructure Service、VP of Product
投稿日

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Jana Iyengar
Infrastructure Service、VP of Product

Jana Iyengar は Fastly のインフラストラクチャサービス部門の VP として、Fastly のプラットフォームを構成するコアハードウェアやソフトウェア、ネットワークシステムを担当するプロダクトチームを統括しています。以前は Fastly の Distinguished Engineer として、QUIC と HTTP/3 の構築とデプロイを含む、トランスポートとネットワークのパフォーマンス改善に取り組み、IETF の QUIC 仕様の編集者として貢献しました。また、IRTF の Internet Congestion Control Research Group (ICCRG) の議長も務めています。Fastly 入社前は Google で QUIC およびその他のネットワークプロジェクトに携わり、その前は Franklin & Marshall College でコンピューターサイエンスの准教授を務めました。

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