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Fastly による買収で Glitch のプライバシー対策が改善した理由

Jesse von Doom

Developer Experience、Head of Product, Fastly

開発者としてこの業界にいれば、お気に入りのアプリケーションやサービスの買収を恐れているはずです。買収により、これまで喜んで使用していた機能の廃止や、最悪の場合、完全にプロダクトやサービスが打ち切られることがあるためです。今回はこれを念頭に置いた上で、Privacy Week の一環として、Fastly による買収で Glitch の多くのサービス、特にコミュニティのデータプライバシーがどのように強化されたかについてご説明します。

まだご存じない方のために説明しますと、今年5月に Glitch は Fastly に買収されました。私たちは Glitch のことをフレンドリーな空間と呼んでいます。ここでは、独自のコーディングエディターやフルスタックのアプリケーションを数秒で作成できる機能、開発者や Web 構築マニアたちによる温かいコミュニティのサポートにより、誰もが Web を構築できます。 

買収の一環として必ず行われるデューデリジェンスのプロセスでは、買い手が買収先の企業、社員、経営方法に関するインサイトを得ることができます。Glitch はこの期間中に Fastly と協力し、Glitch のサービスを利用するために開発者がやりとりするシステムの全体像を図式化しました。このプロセスを通じて、データ処理に関する法令の遵守がさらに強化され、コンプライアンスに対する取り組みでより明確にすべき点や保護を強化すべき点に関する方向性を見出すことができました。

データのプライバシーは、新たな一連のポリシーによって保護されていますが、これらは Web をより強力で健全なものにするのに役立つと Glitch が信じる原則に根ざしています。自分のデータは自分でコントロールできるべきであり、他者に利用されて驚くようなことがあってはなりません。私たちは開発者コミュニティ向けにこの理念のモデル化と運用化に真剣に取り組んでおり、ユーザーがクリーンな環境で独自のアプリケーションの開発を開始できるよう努めています。

原則として Glitch ではどうしても必要なデータのみを収集していましたが、これは Fastly の既存のプラクティスや方針と一致しています。他の企業ではリスクマネジメントを優先するあまり開発者が犠牲になっているという話をよく聞きますが、Fastly では違います。Fastly のおかげで Glitch のプライバシー対策は、スタートアップ企業式のアプローチ (適切な項目すべてにチェックを付けるというもの) から、ユーザーを重視した一貫性のある強力かつ洞察に満ちたポリシーへと成長することができました。 

Glitch のデータ削除プロセスは、Fastly における既存の規律やプラクティスに支えられてより強固なものとなりました。この過程では、Fastly の有能な法務部門やカスタマーサポートチームが協力してくれました。彼らは最初から、Glitch がコミュニティを大切にしていることや、ユーザーを守りたいと考えていることを理解し、保護の強化を支援してくれました。

Glitch は常に開発者にとって利用しやすい環境づくりを重視しています。これは、Glitch の規約を誰もが理解できる分かりやすい言葉に変換する際には特に留意していることです。Glitch はコミュニティを第一に考え、ユーザーを優先し続けます。しかし一般的に買収は負担が大きく、開発者の信用を得られないものです。Glitch は開発者の集まりということもあり、正直に言うと懐疑的な意見もありました。

どんな買収でも利用規約は変更されるものですが、Fastly の法務部門は厳格な権利の主張や隠れて監視を行うのではなく、コミュニティのプライバシーの権利を強化できるよう支援してくれました。これにより、データの取り扱いや処理に関する規約に新たな深みと厳格さがもたらされ、引き続き分かりやすい言葉を使いながらもさらに強化することができました。 

コミュニティ主導の姿勢を維持することは簡単ではありません。しかし、Fastly が Glitch のコミュニティ重視の理念を積極的に受け入れ、さらに強化しようとしている姿勢を確認できてからは、この買収が適切な巡り合わせだったと確信しました。何より素晴らしいのは、自分たちのデータが安全かつ適切に取り扱われ、今後もそれが継続されると、Glitch の開発者が Fastly を信頼しているという点です。


この記事は、プライバシーに関するプラクティスやテクノロジーをインターネットの構造に統合する Fastly の取り組みをご紹介する Privacy Week の一環として書かれたものです。