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Fastly が Glitch の買収を発表。エッジで実現する「Yes Code」の未来

Lakshmi Sharma

Chief Product & Strategy Officer, Fastly

この度 Fastly は米国 Glitch 社 (以下、Glitch) の買収を行い、Web 開発者の間で人気の高い同社の開発プラットフォームとそのユーザーコミュニティのさらなる発展をサポートしていくことを発表しました。  

2011年の設立以降、Fastly はエッジでのコード実行が可能な開発者視点のプラットフォームを提供してきました。これまで多くのお客様と密接に協力しながら、私たちのシステムをお客様のアーキテクチャに統合してきました。同時に、お客様の開発者や DevOps チームは Fastly のエンジニアや運用チームと連携し、私たちのプロダクト開発を支えてくれています。私たちは Fastly がさらに使いやすくなり、世界中の開発者がエッジコンピューティングの魅力を実感できることを目指しています。 

今年の2月には、開発者がフルスタックの Web アプリケーションを作成、構築できる「Yes Code」環境を提供する Glitch との、エキサイティングな新しいパートナーシップの締結を発表しました。私たちはこのパートナーシップを通じて、Glitch の Web ベースの開発環境を拡張し、Fastly の WASM ベースの Compute にコードをデプロイできるようにしました。この提携は、Glitch の使いやすいインターフェイスを介して Compute へのアクセスを容易にし、180万人のユーザーを抱える Glitch の開発者コミュニティが Glitch のプラットフォームで書いたコードを Fastly の強力なサーバーレスコンピューティング環境にデプロイできるようにすることが目的でした。パートナーシップを結んだ当初、緊密に連携して作業を進めながら、両社の強みを組み合わせることで今後何が実現できるだろうかとお互いに考えるようになりました。undefined

今回 Glitch のチームを Fastly に迎えることができたことを大変うれしく思います。また、同社の素晴らしいユーザーやファン、支持者たちのコミュニティのニーズを理解し、サポートできることも非常に楽しみです。

Glitch の魅力

Glitch がこれまで作り上げてきたものは、さまざまな魅力に溢れています。同社の提供するパワフルかつフレキシブルな環境により、開発者はサーバーの設定や管理、DNS の管理、データベースのインストール、コードをデプロイする最適な方法の検討などに頭を悩ませることなく、驚くほど簡単にフルスタックの Web アプリケーションを開発することができます。ボタンひとつでアプリを稼動し、他の作業は Glitch がバックグラウンドで処理をしてくれます。コードを簡単にデプロイできるプラットフォームは他にも存在しますが、Glitch のように面白いアイディアが浮かんですぐに実行に移せるプラットフォームは他にありません。 

さらに Glitch は、「コードのリミックス」を可能にすることで開発者にインスピレーションをもたらし、開発の可能性を広げます。別の開発者が作ったアプリを気に入り、それを自分たちのプロジェクトの仕様に合わせて変更する、あるいは独自のアプリを一から作成する必要がある場合も、簡単にコードをリミックスし、デプロイすることができます。こうしたリミックス文化を通じて Glitch は、優れたアプリやサイト、ツールを構築するためにお互いをサポートし合い、コラボレーションを促す開発者コミュニティを作り出すことができたのです。Wordle タイプのゲームで、空港コードやイギリスの街、あるいはタブーとされる言葉などに関するゲームを作りたいと考えたことはありませんか? そうしたゲームをはじめ、さまざまなものが Glitch のプラットフォームで開発されています。

Glitch が提唱するリミックス文化やプラットフォームの使いやすさは、Google や Stripe、Twitter、Notion そして Etsy といった大企業の開発者の間でも高く評価されています。これらの開発者は豊富なリソースにアクセスできますが、ツールやサイト、プロトタイプ、デモの構築に Glitch を活用しています。Fastly や Fastly のお客様も同様の理由で Glitch を利用しています。  

Glitch との買収合意は、開発者に自分たちの望む方法で開発できる環境を提供するという Fastly のミッションを達成する重要な第一歩になります。Compute を利用することで、企業の開発者は Fastly のエッジネットワーク上で必要なパフォーマンスとセキュリティ、スケーラビリティを備えたアプリケーションを構築できるようになります。Fastly は、中小企業のイノベーターや趣味でプログラミングを楽しんでいる開発者、あるいは大規模な組織の開発チームに至るまで、すべての開発者の可能性を解放したいと考えています。undefinedそうした目標を達成する一環として、シンプルで親しみやすく、コラボレーションしやすい Glitch のプラットフォームを Fastly のエッジクラウドプラットフォームのパワーとスケーラビリティを活かしてさらに強化することにしました。 

Glitch の CEO である Anil Dash 氏は、「これまで Glitch は、アプリのアイディアが浮かんでから実際にリリースされるまでのプロセスを可能な限りシンプルにすることで、創造性を発揮しやすい環境づくりを常に目指してきました。Fastly のチームに加わることで、同社の優れたエッジソリューションと可能性を、これまで以上に多くの開発者に提供できることを非常に喜ばしく思っています。特に Fastly のグローバルエッジネットワークを、自身のアプリ開発のアイディアを早くかたちにしたいと考えている開発者たちに提供することで、斬新で革新的なアプリやサイトが生まれるのを想像すると、本当にワクワクします」と述べています。 

Glitch がこれまで、そしてこれからも愛される理由

Glitch は、インターネット上で最も素晴らしく、活気のあるクリエイターコミュニティを形成しています。Fastly は、彼らが掲げる目標の達成に向けてサポートできることをとてもうれしく思います。Fastly にはオープンソースのコミュニティへの支援や、非営利団体へのリソースの提供、より公平なデジタルコミュニティの実現に取り組むお客様への協力、そして自分たちが大切と信じて掲げるバリューに関する発言などを長年続けてきた歴史があります。Glitch と共に提供するソリューションを通じて、Fastly のお客様がこれまで以上にさまざまなことを実現していくのを楽しみにしています。

パワフルなグローバルネットワークを10年以上運営してきた Fastly にとって、パフォーマンスとスケーラビリティは専門分野です。Glitch の開発者は、192 Tbps の容量 (2022年1月現在) を誇る Fastly のグローバルな分散型プラットフォームを活用できるようになります。また今回の統合を通じて、Fastly の次世代 WAF や画像最適化などの機能へのアクセス、さらに (おそらく最も重要な点として) Compute でのミリ秒以下のコールドスタートといったメリットも得られます。Glitch のダイナミックな開発者コミュニティと連携することで、新機能や性能に関して早い段階でフィードバックを収集するだけでなく、私たちが何年も取り組んできた課題を新たな視点で捉えなおす機会も得たいと考えています。 

今回のパートナーシップにより、何が変わるのか? 簡単に言うと、今後 Glitch のユーザーは素晴らしいコードを書くことに集中し、それ以外はすべて Fastly に任せることができるようになります。Compute にデプロイする場合、「プロジェクトの読み込み中」という永遠に続きそうなメッセージに不安を感じる必要はありません。Compute では、コールドスタートの心配自体が不要なのです。さらに、よりオープンで信頼性の高い Web を実現するという共通のビジョンを掲げる Fastly と Glitch の協力の下、Glitch のクリエイティブな開発者コミュニティのユーザーは、今後も共同作業やコードの共有が行えます。

今後について

Glitch の開発者コミュニティを、現在インターネットの世界において最も素晴らしく、活気のあるクリエイターコミュニティのひとつと考えている Fastly は、このコミュニティの育成に取り組みます。私たちはすべての開発者が、今後も Glitch を自分たちのアイディアの実験や検証、ワークショップを行う場所として活用しつつ、(その目的が趣味か、重要度の高いビジネスかを問わず) 本番環境にコードをデプロイする場所としても認識してほしいと考えています。Fastly との統合を通じて Glitch は、より高速かつ安全で、瞬時のスケールアップが可能な開発環境を、エンタープライズクラスの可用性とサポートと一緒に提供することが可能になり、さらにパワーアップします。 

私たちは Glitch とのコラボレーションによって、人々の価値観を大きく変える革新的なアプリケーションの構築やデプロイ、スケールアップを可能にする、よりオープンでアクセスしやすいプラットフォームを、すべての開発者のために実現できるよう今後も取り組んでいきます。皆さんのアイディアをぜひお聞かせください。