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Compute : Fastly のサーバーレスコンピューティング環境でトラフィックを実行している企業によるインサイト

Kimmie Nguyen

Vice President of Product Growth

Fastly のサーバーレスコンピューティング環境 Compute は開発当初から、インフラのリミットを気にすることなく、パフォーマンス、俊敏性、セキュリティ、創造性を向上できるようにすることをミッションに掲げてきました。

Compute がベータ版 (Beta) から実際の本番環境に移行し、現在、本番トラフィックで実験や検証を続けていらっしゃるお客様の取り組みには敬服させられます。このようなお客様のユースケースは、サーバーレスの真の可能性を具体的に示しています。このことは、出版から eコマースメディア旅行に至るまで、あらゆる業界に当てはまります。

前回の Altitude カスタマーサミットでは、3つの組織から実際の体験談を伺うことができました。Vox MediaMuxPerimeterX の3社はすべて、Compute 上で開発を行っており、Compute の可能性に大きな期待を寄せています。ここでは、その中からいくつかのポイントをご紹介します。

エッジでメディア処理を行い、パフォーマンスを最適化

数年前に比べてメディアを取り囲む環境は大きく変わりました。現在、何百種類ものスマートフォン、スマートテレビ、セットトップボックスが存在し、それぞれの形式でコンテンツが最適に表示されなければなりません。つまり、画面サイズや帯域などを考慮して、各デバイス用にビデオのマニフェストをカスタマイズする必要があるということです。残念ながら、数多く存在するデバイスとネットワークの各組み合わせごとにオリジンへのリクエストが行われると、パフォーマンスに悪影響がもたらされます。

サンフランシスコを拠点とし、Fox や Vimeo などのビデオストリーミングサービスを支えているビデオテクノロジーのスタートアップ企業である Mux のエンジニアは、「エッジでメディア処理を行えることは、当社のサーバーレスコンピューティング環境が提供する革新的なメリットのひとつです」と述べています。Compute では、オリジナルのマニフェストファイルがユーザーの近くでキャッシュされ、さまざまなデバイス用にカスタマイズされたバージョンがその場で生成されるため、オリジンへのラウンドトリップ回数が少なくなり、最適なパフォーマンスを得ることができます。

Vox Media もこのようにレベルの高いパフォーマンスを求めている企業のひとつです。同社は、さまざまな形式の出力に応じて大量のコンテンツをカスタマイズして翻訳し、コンテンツと機能の両方をパーソナライズしています。Vox Media の CTO である Pablo Mercado 氏は、「最初のコンタクトポイントでロジックとキャッシュを実行することは、パフォーマンスの観点からみてとても優れています」と語り、Compute によって創造性が広がり、チームに刺激をもたらしていると述べています。

柔軟性と俊敏性を実現するミドルウェアスタック

Vox Media のチームは、Fastly を単なるコンテンツ配信ネットワークではなく、より広範な「ビジネス配信ネットワーク」と考えています。毎日、何百万人もの人々が、The Verge、New York Magazine、vox.com などの Vox ブランドのポッドキャスト、ビデオ、デジタルメディアコンテンツにアクセスしていますが、これらのトラフィックはすべて Fastly を経由しています。

Vox Media は現在 Compute 上でプロトタイピングを行っています。同社のエンジニアリングチームはすでに、ビジネス全体に柔軟性と俊敏性の向上をもたらす有益な「ミドルウェアスタック」として Compute を位置づけています。開発の上流で新しいロジックを加えることは時に困難な場合があります。しかしこの環境では、開発者や、エンジニア、そして創造力のある人たちがビジネスロジックについて提案したり、より俊敏に新しい機能をテストすることができます。構築するものが何であろうと、容易かつ安全に、そして開発者のコストを抑えながら統合することが可能です。

シームレスなセキュリティを実現する新機能

動作ベースのボット対策を提供する PerimeterX のチームは、Compute を利用することで、複雑な機能やロジックなどを追加しても過度にシステムを複雑化せずに、セキュリティエコシステムを強化できると期待しています。新しい機能を利用するために別のアプリケーションを追加する必要も、アプリケーションのバックエンドに変更を加える必要もありません。また、エッジでボット対策を実行することは、悪意のあるトラフィックやアクティビティがデータセンターやアプリケーションから離れた場所で安全に処理されることを意味します。

「Fastly で迅速に設定更新を行えることや、Edge Dictionary を使用してコードを読み書きできることが役立っています」と PerimeterX の CTO である Ido Safruti 氏は語っています。「これにより、決定をより迅速に反映させることができるようになりました。以前に使用していた API コードの一部が不要になったり、それらを排除することで、ボット対策をさらに独立した形でエッジ上で実行できます」

まとめ

Fastly ではお客様と協力して Compute のロードマップを作成しているため、このような経験談やインサイトを得ることは私たちにとって非常に重要です。

2021年のプロダクトビジョンに掲げているように、Fastly は一般公開版 (General Availability) に向けた取り組みを続けていきます。また、さまざまなスキルセットを持つ開発者がこのプラットフォームを広く採用できるよう、開発者が使い慣れている言語ツールをさらに追加していく予定です。

より多くの組織に Compute の可能性を発見していただくとともに、さらに多くのストーリーや学びを共有しながら、共に未来を築いていきたいと考えています。Compute の最新情報をご希望の方は、メールリストにご登録ください。


このブログ記事は2020年11月に開催された Altitude のカスタマーサミットでのパネルディスカッションを元にしています。Fastly とインターネットの未来に関するバーチャルイベントでのその他の講演はこちらからご覧いただけます。