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コミュニティスポットライト : 情報格差の解消に向けた Endless OS Foundation の取り組み

Hannah Aubry

Senior Community Manager, Fastly

過去数年間で、社会経済的にも地理的にもインターネットのパフォーマンスやアクセスにおける不平等な分布 (一般に情報格差と呼ばれる) がますます深刻化しています。そして新型コロナウィルス感染症によるパンデミックは、この世界的なアクセスの格差をより鮮明にしました。2020年4月の調査では、米国の低所得者層が住む地域のダウンロード速度が、高所得者層が住む地域よりも41.4%低いことが明らかになりました。また、ISP やモバイルサービスプロバイダーはネットワークの容量を拡大し、帯域制限をなくすことが可能であり、今回の世界的な健康危機においてそれらを実行してきたことがわかりました。

パンデミック発生後、インターネットにアクセスできる学生とアクセスできない学生の間のギャップを埋めるために、多くの一時的な解決策が講じられてきました。しかし、それらのソリューションの多くは今後1年から3年の間に利用不可能になります。そこで Fastly では、現在および恒久的な情報格差の解消に向けて、教育テクノロジー企業やその他の企業がどう貢献できるかについて検討しています。今回その一環として、Fastly のオープンソースおよび非営利団体支援プログラムのメンバーでもある Endless OS Foundation の CEO を務める Rob McQueen 氏に、世界各地の学生にどのようなサービスを提供しているのかについてお話を伺いました。

パンデミックに伴うオンライン教育コンテンツの需要の急増

501c4 に認定されている社会福祉非営利団体の Endless OS Foundation は、すべての人とコミュニティがテクノロジーにアクセスできるようにすることを使命としています。情報格差を解消するため、同団体では手頃な価格のデバイスの普及と、高速接続の必要性を軽減するソフトウェアの構築に焦点を当てています。また、Khan Academy、Common Sense、TED-Ed、PBS などの組織と提携し、ビデオレッスン、アプリケーション、5万件以上のウィキペディア記事など、Endless OS Foundation のオペレーションシステム向けの教育コンテンツを提供しています。さらに、World Possible、International Rescue Council、Teach for America、Save the Children などの団体と提携し、アパラチア山脈からケニアまで、世界各地で Endless OS を展開しています。

「デジタル経済への参加にインターネットに接続されたパソコンは必要不可欠ですが、現実には世界の人口の半分近くはインターネットが提供する豊富な知識と機会にアクセスできていません」- Rob McQueen 氏、CEO

Endless は、8年以上にわたってこの問題に取り組んできましたが、一家が企業の駐車場に座ってインターネットを利用していたり、インターネット接続が利用できないために使用されていないコンピューターがあったりと、情報格差の現実を目の当たりにしてきました。世界的なパンデミックが始まると、状況はさらに悪化しました。その一方、パンデミックの影響で Endless OS Foundation へのトラフィックが急増しました。

まだ比較的新しい非営利団体である EndlessOS Foundation は、限られた予算で運営されています。学校が閉鎖し始めるとすぐにダウンロードやアップデートのリクエストが増加し、それに伴って配信コストも急増しました。Endless は何か良い解決策はないかと当時のコンテンツ配信ネットワーク (CDN) ベンダーに相談したところ、提示されたソリューションは非効率的なものでした。また、相当数のユーザーを抱える東南アジアや中南米などの地域の一部では、CDN が機能せず悩まされていました。サービスの質を継続的に維持することができず、コストはどんどん膨れ上がっていきました。

最新の教育アプローチを実現するの最先端の CDN

新しいソリューションを必要としていた Endless は Fastly の非営利団体支援プログラムに参加し、最先端の CDN のパワーを利用して配信できるようになりました。最もデータ量の多いタスクは Endless OS のフルダウンロードですが、これはインターネットへの接続が悪い地域で行われることがよくあります。そこで大容量のファイルについてはセグメント化してキャッシュしています。大きなリソースを小さなセグメントに分割してキャッシュし、それを再結合することで大容量のファイルの配信パフォーマンスを向上させることができます。

有効期限 (TTL) とは、新たにコンテンツがオリジンから取得されるまで、CDN にコンテンツが保持またはキャッシュされる期間のことを意味します。TTL を長く設定し、古いコンテンツをキャッシュから完全に削除するのではなく、選択して失効済みコンテンツとしてマークし、ソフトパージすることで Endless は配信コストの削減に成功しました。これは非営利組織としての同団体の予算に大きく影響します。

「Fastly は、リアルタイムで何が起こっているか確認でき、実際に設定ファイルを編集できるという点で、これまでに利用した CDN の中でも圧倒的に優れています。私たちが提供するファイルの中には非常に大きなものもあるため、セグメントキャッシュはサービスを効果的に機能させるのに役立っています。Fastly を使用することで、ユーザーが Endless OS をダウンロードするスピードと信頼性を大幅に改善できたことに深い感銘を受けています」 - Rob McQueen 氏、CEO

今後の展望

最先端の CDN を利用することで、Endless OS Foundation は未来に目を向けることができるようになりました。同団体は現在、ダウンロードの高速化、オンラインとオフラインのハイブリッドリソース、そしてオフラインでも利用できる強力なインターネットコンテンツがプリロードされた USB デバイス Endless Key の展開に取り組んでいます。また、オンラインのコンテンツパートナーを増やすことでコンテンツライブラリの拡張を図り、ユーザーが学習、作業、スキル向上に必要なより多くのツールにアクセスできる環境の構築を目指しています。