ブログに戻る

フォロー&ご登録

英語のみで利用可能

このページは現在英語でのみ閲覧可能です。ご不便をおかけして申し訳ございませんが、しばらくしてからこのページに戻ってください。

低レイテンシ配信を深掘り

John Agger

Media & Entertainment、Principal Industry Marketing Manager, Fastly

ライブストリーミングの体感品質は、ネットワークからレイテンシを排除できるか否かで大きく変わります。レイテンシ (パケットがストリーミングの発信元からエンドユーザーのデバイスに届くまでの遅れ) にはさまざまな形があり、最も一般的なのは遅延、コマ落ち、バッファリング、それらを理由に発生する画質の低下です。

配信のレイテンシを最小化・削減するには、プランニングと最適化が必要ですが、レイテンシとコストの間のトレードオフを受け入れることも重要です。コンテンツの録画、エンコーディング、最初の送信の効率的なメソッドを構築することで、プロセスの初期段階から非効率性やレイテンシを排除できる一方、実際のレイテンシの多くは配信中に発生します。コンテンツ企業は、システムのフロントエンドとネットワーク配信コンポーネントの両方のソリューションを確保し、レイテンシを最小限に抑える必要があります。2021年の調査では、回答者の42%が「ユーザーエクスペリエンスの最優先事項は高品質な動画である」と考えていることが明らかになりました。低レイテンシは僅差で2位になり、32%が「レスポンスの速い動画が最優先事項である」と回答しています (https://www.wowza.com/blog/2021-video-streaming-latency-report)。

レイテンシ、低レイテンシ、超低レイテンシの「定義」

コンテンツを作成、送信し、最終的にエンドユーザーのデバイスで受信するまでのプロセスにおいては、処理、帯域幅、時間が必要です。ライブイベントのコンテンツがエンドユーザーのデバイスに表示されるまで最大で10秒かかることも珍しくありません。平均的な HD ケーブル放送局では4 - 5秒のレイテンシが発生しますが、コンテンツネットワークの約4分の1は10 - 45秒のレイテンシに悩まされています。現在のところ標準規格はありませんが、一般的に低レイテンシ配信とはライブアクション後4 - 5秒未満でエンドユーザーの画面に映像が配信されることを指します。超低レイテンシはそれよりさらに遅れが少ない状態を意味します。カメラのレンズから視聴者の画面に届くまでの時間、いわゆる「Glass-to-Glass」レイテンシは20秒近くかかることも少なくありませんが、ケーブル TV の HD (高精細) 品質のコンテンツは5秒程度のレイテンシで、低レイテンシのベンチマークとなっています。

レイテンシ発生の一般的な原因

放送や配信ネットワークにおけるレイテンシ発生の原因はさまざまです。ネットワークを介して送信される (ライブ) ビデオストリーミングをパケットにエンコードするだけで、ビデオストリーミングにレイテンシが発生します。加えて、さまざまなサードパーティーネットワークを経由してエンドユーザーのデバイスに配信されるため、レイテンシがさらに長くなります。また、各プロトコルには異なる長所や短所があり、必ずしもレイテンシを減らすことを第一に考えているとは限りません。

例えば、2009年に導入された Apple オリジナルの HTTP ライブストリーミングプロトコルは、デフォルトで30秒のレイテンシが発生します。これは、効率的であっても普及率の低いプロトコルを使用せず、既存のインフラストラクチャ (HTTP) を優先して配信しているからです。この他、宛先までのネットワーク経路を最適化し、暗号化などの二次的なネットワーク機能によるレイテンシを最小限に抑え、最適化されたエンコーディングおよびデコーディング手法を選択できるプロトコルもあります。ここで、2020年に Apple が HLS プロトコルの低レイテンシバージョンである LL-HLS を導入したことを付け加えておきます。数ある技術の進化の中でも、特にセグメントを小さくすることによってレイテンシ削減を進めたものです。

レイテンシ削減にかかわる一般的な分野

エンコーディングのワークフローを調整し、処理のスピードを上げることで、レイテンシを減らすことは可能ですが、これにより他の部分で効率が低下し、コスト上昇を招きます。ネットワークパケットと動画セグメントが小さくなれば、オーバーヘッドが増えて帯域幅が減少しますが、レイテンシが削減されます。一方、セグメントが大きいと、全体的な帯域幅が増し、効率性が高まりますが、リアルタイムなエクスペリエンスが犠牲になります。

メディアをキャプチャしてエンコードするワークフローは、レイテンシ削減の可能性を探るのに最適です。適切に調整されたワークフローは、エンコードされた動画セグメントをすばやく配信できますが、処理時間を最小限に抑えることだけが目標ではありません。処理に時間をかけるほどコンパクトなデータストリームが生成され、ネットワーク全体のレイテンシが短くなります。処理効率とネットワークの転送効率の間には相関性があり、コンテンツパブリッシャーは適切なバランスを見つける必要があります。

インタラクティブ性とユーザーエンゲージメントを実現する (超) 低レイテンシ

レイテンシを最小限に削減することができれば、ライブコンテンツのオンライン視聴エクスペリエンスは大幅に改善されます。リアルタイムアプリケーションのレイテンシ削減も重要であり、魅力あるセグメントです。ユーザーが求めているのは、少人数でのビデオ会議だけでなく、数百人が参加し、リアルタイムで視聴者からのフィードバックを受けられるライブプレゼンテーションを開催できることです。また、ゲームのライブ配信を視聴するだけでなく、クイズやギャンブル、ゲームエクスペリエンスに参加するなど、リアルタイムでイベントにかかわりたいのです。レイテンシがこうした体験の妨げになるとしたら、視聴者は他のプロバイダーを利用したり、別のイベントに切り替えたり、他の人や企業とかかわるようになるでしょう。超低レイテンシの本当のメリットは、コンテンツ、ユーザーエクスペリエンス、データがほぼリアルタイムで配信されることで、優れたユーザーエクスペリエンスの基盤を形成し、新たなビジネスモデルを実現できる点にあります。低レイテンシを確実にすることで、コンテンツとビジネスの差別化を図り、採用を促し、顧客離れを最小限に抑えることができます。

コンテンツのレイテンシを削減し、超低レイテンシ配信を競争上の強みにするための詳細な分析と提案については、こちらのソリューション概要をご覧ください。また、今後のブログ記事では、お客様のビジネスの差別化に役立つ最新のテクノロジーについてもご紹介します。