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最新の CDN がヘッドレスコマースを最大活用するための5つの方法

Adrien Pujol

EMEA、Product Marketing Manager

2020年は、数多くの企業が事業方針を大きくシフトさせた年でしたが、中でも eコマース業界ほど大きな変化を迫られた業界は他にないかもしれません。CNNによると、一部のリテーラーではオンライン購入の割合が20〜30%上昇しました。こうした変化の結果、今年初めに Gartner 社が行った調査では、回答者の70%近くが、デジタルビジネスへの取り組みを加速させていると答えています。

コマース企業がデジタルトランスフォーメーションを加速するために採用している最大の方法の1つは、ヘッドレスアーキテクチャへの移行です。実際、Gartnerでは、API ベース (ヘッドレス) の eコマースを、2020年のデジタルコマースのトップ10トレンドの1つに挙げています。

ヘッドレスアーキテクチャとは

ヘッドレスプラットフォームはフロントエンドに依存しないため、フロントエンドの開発者は、共通 API を介して通信する特定チャネル用にさまざまな「ヘッド」を構築することが可能です。コンテンツ配信ネットワーク (CDN) は、通常 Web やモバイルのパフォーマンスを向上するために使用されるものですが、従来の CDN は、ヘッドレスで API に特化したアーキテクチャをサポートするために構築されてはいませんでした。

ヘッドレスコマースのパーソナライゼーションとパフォーマンスを最大限に活用するには、最新のアプリ開発ニーズに合わせたエッジクラウドプラットフォーム上に構築されたモダンな CDN を使用する必要があります。エッジクラウドがヘッドレスコマースを最大活用するための5つの方法を見てみましょう。

1. パフォーマンスの最適化

消費者は、読み込みの遅さやサイトのダウンタイムなどに容赦がありません。実際、Retail System Research の調査によると、サイトのローディング速度が遅いだけで、ユーザーの90%がそのサイトを放棄します。すべてのクライアントリクエストが同じ API リソースに収束するため、ヘッドレスアーキテクチャでは、API がボトルネックになる可能性があります。このため API のアップタイムとパフォーマンスの維持が最重要であり、その規模が大きくなればなるほど困難になります。API がダウンした場合は、依存するすべてのサイトやアプリが機能停止してしまいます。

エッジクラウドプラットフォーム上に構築された配信ネットワークは、ネットワークのエッジで API レスポンスをプログラムで即座に無効化することで、動的コンテンツをキャッシュし、ヘッドレスコマースアプリケーションのパフォーマンスとレジリエンスを向上させることができます。伝統的な eコマースプラットフォームを使用している企業は、CDN を活用してパフォーマンスとレジリエンスを高めることに慣れていますが、従来の CDN のほとんどは、古いコンテンツを即時に無効化できないため、API レスポンスをキャッシュすることができません。

2. マイクロサービスをインテリジェントにルーティング

ヘッドレスコマースの背後にある API はマイクロサービス上に構築されているため、適切な API サービスへの直接リクエストのルーティングに依存しています。ロードバランサーは、クラウドまたはハードウェアのいずれかでこのタスクを達成するよう設計されていますが、これらの多くはヘッドレスアーキテクチャに潜在的な問題をもたらします。

例えば、クラウドベースのロードバランサーの大半 (従来の CDN の多くが提供) は DNS の上に構築されているため、IP アドレスのみでトラフィックをルーティングしたり、ルーティングの変更を即座にプッシュアウトしたりする機能を制限することはできません。

さらに、アプリケーションデリバリーコントローラー (ADC) や多くのエラスティックロードバランサーは、Thundering Herd (再試行の嵐) 問題の影響を受けやすく、予期せぬ高いリクエストレベルによって可用性の問題やパフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。

一方、エッジクラウドプラットフォーム上に構築されたモダンな CDN は、インスタントコンバージェンスとフェイルオーバーを提供しながら、企業がコンテンツに応じたルーティングの決定を定義できるようにすることで、マイクロサービスをサポートしています。DNS ベースのソリューションとは異なり、企業は即座にきめ細かいコントロールを行うことが可能です。また、特にフラッシュトラフィック時には、ADC よりもパフォーマンスが向上し、コストが削減されます。

3. パーソナライズされたエクスペリエンスによるコンバージョン率の向上

サイトのパーソナライゼーションにより、ビジネス利益が最大15%増加できると、Gartner のアナリストは予測しています多くの企業は、コンバージョンと平均注文額を高めるためには、カスタマイズされたエクスペリエンスを提供することが重要であると認識していますが、ヘッドレスアーキテクチャにはテクノロジー的に大きな課題があります。従来の CDN では、ヘッドとバックエンド間で訪問者データをリアルタイムで送信することができず、買い物客のエクスペリエンスを真の意味でパーソナライズすることはできませんでした。

最新の CDN では顧客インサイトを利用し、訪問者のロケーションやデバイスの種類、言語に基づいて、提供するコンテンツを迅速に調整することが可能です。API レスポンスを介しレスポンスを返すことができるため、買い物客がモバイルデバイス、ラップトップ、キオスク、スマートウォッチ、チャットボットからアクセスしているかどうかに応じて、異なるバージョンのサイトやアプリを提供することができます。また、訪問者のタイプによって異なる体験を提供することもできます。これは、リピート客に初回訪問者とは異なるエクスペリエンスを提供し、コンバージョンをさらに高めるのに有効です。

4. より迅速な問題の検出と解決

ヘッドレスコマースを搭載したさまざまなサイトやアプリで、訪問者が意図したエクスペリエンスを得られるようにするには、ネットワークレイヤーで API リクエストとレスポンスをリアルタイムで可視化する必要があります。このようなデータがない場合、訪問者のエクスペリエンスを最適化したり、問題を効果的にトラブルシューティングすることはできません。

Google Analytics などのユーザー行動分析ツールは API には不十分であり、従来の CDN は通常、エッジからのログをリアルタイムでストリーミングしたり、リクエストやレスポンスのあらゆる側面を公開することはできません。

一方最新の CDN は、エッジからのリクエストとレスポンスのあらゆる側面のログをほぼリアルタイムでストリーミングすることで 、API を完全に可視化することができます。これにより、訪問者がサイトやアプリをどのように利用しているかを可視化し、傾向を特定して API 配信の問題を解決することが可能です。さらに、新しいコードのデプロイや API のバージョニングの影響をモニタリングし、問題がある場合には以前の安定した設定に瞬時にロールバックすることもできます。この可視性は、セキュリティイベントへの対応にも使用でき、問題を迅速に修正するための貴重なインサイトを得ることができます。 

5. スピードのためにセキュリティを犠牲にしない

API とマイクロサービスは、現代のアプリケーションにおける結合組織です。攻撃しようとする側は当然このことを知っており、API を悪用して合法的なユーザーやビジネスパートナーが利用できる貴重なデータを抽出しようとしています。Gartner の予測でも、2022年までに API の悪用が最も頻繁な攻撃ベクトルになるだろうとしています。つまり、ショッピング体験に影響を与えたりヘッドレスコマースのアジリティを失うことなく、プラットフォームを保護することが非常に重要になります。

従来の CDN では、パフォーマンスとセキュリティの間にはトレードオフがあると考えられています。しかし、最新の CDN では、より良いショッピング体験のために、高度な WAF、API、ボット対策、DDoS 対策を最小限のレイテンシで提供しています。レート制限は、API の回復力とコストをさらに保護するのに役立ちます。さらに、最新の CDN では、従来の CDN とは異なり、1つの安全なネットワークを介してトラフィックを送信することによってセキュリティを強化しています。従来の CDN では、安全なトラフィックのために別のネットワークを使用する場合があります。これらすべてを組み合わせることで、パフォーマンスを損なうことなく安全なヘッドレスコマースエクスペリエンスを提供することが可能です。

今後について

ヘッドレスコマースの能力を最大活用することは、最新の CDN とエッジベースのサーバーレスアーキテクチャが、より動的なコンテンツを提供し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる多くの方法のほんの1つに過ぎません。このトピックの詳細と、最新 CDN の実用例については、最新 CDN ガイド : 現代の開発者のためのセキュリティをご覧ください。