デジタル出版戦略に最先端の CDN を活用する3つの方法
今では当たり前のことですが、読者はプラットフォームや場所を問わず、パーソナライズされたタイムリーなコンテンツが高速に表示されることを望んでいます。そして、そのようなエクスペリエンスが得られない場合、他のサイトに移動してしまいます。しかし驚くことに、この事実にもかかわらず、このようなエクスペリエンスの実現を妨げる従来型のコンテンツ配信テクノロジーを使用しているデジタル出版社が少なくありません。
顧客ベースを維持し、さらに成長させる鍵は、最新のコンテンツをいち早く配信し、コンテンツを読者に合わせてパーソナライズして、レスポンシブで安全なオンラインエクスペリエンスを提供することにあります。そこで今回は、この実現に向けた最先端のコンテンツ配信ネットワーク (CDN) の活用例を3つご紹介します。
コンテンツのカスタマイズ
多くのデジタル出版社は、閲覧に使用しているプラットフォーム、位置情報、サブスクリプションのステータスなどの変数に基づいて表示するニュース記事の一覧をカスタマイズし、高度にパーソナライズされたコンテンツを配信しています。しかし、すべての CDN がこうした作業をサポートするのに必要な可視性と柔軟な設定機能を備えているわけではありません。コンテンツの高度なパーソナライズが不可能な CDN を使用している場合、顧客のロイヤリティが損なわれ、短期的にも長期的にも視聴者を失うリスクがあります。
開発者は最先端の CDN を利用することで、ユーザータイプ、デバイスの種類、位置情報などの条件に基づいてコンテンツをカスタマイズし、ユーザーに最も関連性の高い情報を提供できます。CDN によっては、読者の位置情報を経度、緯度、大陸、国、都市、郵便番号、電話の市外局番、メトロコードまで正確に特定できる機能を備えるものもあります。この機能を利用することにより、特定の都市や郵便番号を対象にした広告や、位置情報に基づいて異なる言語の代替サイトを提供したり、地域ごとに利用可能なプロダクトを表示したり、ユーザーが使用しているデバイスに適したサイズや画質の画像を配信するなど、高度にローカライズおよびパーソナライズされたコンテンツを配信することが可能になります。
また、ペイウォールは毎回リクエストするたびに処理に時間がかかりすぎるとユーザーが離脱する可能性が高くなるため、できるだけスムーズに処理する必要があります。最先端の CDN では Cookie ベースのテクノロジーをエッジで活用して迅速な処理が可能なペイウォールを構築することができます。その結果、開発者は高額なサーバーサイドの機能や、パフォーマンスや応答性の低下を招くオリジンへのアクセスを必要とするクライアントサイドの機能を使用する必要がなくなります。
より多くのデータをキャッシュし、配信を高速化
ユーザーの期待が常に高まる中、記事やビデオの公開が承認された瞬間に編集者がコンテンツを公開できることが成功を左右します。わずかな遅れがチャンスの損失につながり、ニュースアグリゲーターでの掲載順位が大幅に下がることもあります。
そのため、視聴者を惹きつけ、飽きさせることなくコンテンツに注目してもらうためには、低レイテンシの配信が必要です。高度に動的なデジタルコンテンツは、ネットワークのエッジでより効率的かつ迅速に処理し、配信することができます。しかし、多くの場合、コンテンツはエッジから遠く離れたコンテンツ管理システム (CMS) に保存されています。
その点、動的サイトアクセラレーション (DSA) を備えた最先端の配信プラットフォームなら、オリジンから読者への長距離転送を最適化できます。さらに、ネットワークとプロトコルを最適化しながら、トラフィックの急増からオリジンを保護するメカニズムを活用し、DSA は動的コンテンツの長距離転送を効率的なスピードで行うことができます。
最先端の CDN では、キャッシュを即時に削除 (インスタントパージ) できるほか、トラフィックをリアルタイムでモニタリングできるため、従来の CDN ではキャッシュできなかった多くのコンテンツをキャッシュすることが可能になります。ただし、すべての CDN がキャッシュされたコンテンツをミリ秒単位でパージしたり、(「Purge All」で全コンテンツを一括パージする代わりに) コンテンツを選択的にパージできるわけではありません。
また、最先端の CDN では統計情報とログにリアルタイムでアクセスし、API のパフォーマンスをプログラムおよびモニタリングできます。これらのメカニズムはコンテンツ配信における強力な機能であり、パフォーマンスの改善、オリジンの負荷軽減、全体的なインサイトの提供など、組織のアプリケーションを多面的にサポートします。
サイトやアプリケーションの安全性を確保
個人情報の保護を目的とする厳格な規制に準拠するには、従来のデジタル出版のアプローチでは限界があります。デジタル出版社は、そうしたコンプライアンスを実現するために、コンテンツの視聴場所をコントロールできるようにしたいと考えています。その方法として、物理的な場所や IP アドレスに基づいてトラフィックをブロックしたり、VPN (Virtual Private Network) トラフィックを識別することなどが挙げられます。CDN がこれらを実行するためには、ヘッダー、Cookie、リクエストパス、クライアント IP、地理的位置情報を含む HTTP/HTTPS リクエスト全体を検査し、数秒でトラフィックをブロックできる必要があります。
ボットもまた、デジタル出版社にとってセキュリティ上の懸念材料です。ボットによってコンテンツが違法にスクレイピングされて別の場所で公開されると、元のパブリッシャーにとってコンテンツの価値が著しく低下します。そこで、最先端の CDN と Web アプリケーションファイアウォール (WAF) を組み合わせることで、開発者は CDN のログを調査し、数千種類に及ぶ攻撃のいずれかが進行中であるかどうかを検知できます。当たり前のことですが、開発者にとって、手動介入なしで攻撃を自動的にブロックするように WAF を設定できることも重要です。
例えば配信用とセキュリティ用のネットワークが分離されている場合とは異なり、セキュリティがあらかじめ組み込まれた単一配信ネットワークのみを使用する最先端の CDN では、セキュリティの異常を検知しやすく、より迅速に対処できます。これにより、開発者は攻撃の激化に応じて包括的なスケーリングの決定を行うことができ、特に DDoS 攻撃に対処するのに役立ちます。
そろそろ CDN を見直してみませんか?
競争の激しい市場においてデジタル出版社が生き残るためには、最先端のシステムを導入して読者やアグリゲーターにコンテンツを瞬時に配信できるようにする必要があります。新しい配信プラットフォームを設計、構築する際には、どのようにして目標達成に貢献できるか、どのように視聴者の期待に応え、さらにそれを上回ることができるかについて CDN を評価し、適切な CDN をお選びください。課題が増え、消費者の期待が高まる中、優れた視聴体験を高速に提供することを可能にする賢明な投資が不可欠です。