CDN を評価する際に役立つ10のチェック項目
前回のブログ記事では、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) を利用すべき理由をご説明しました。CDN の導入を決めたら、まずは自社のビジネスに適した CDN を選択する必要があります。
1990年代後半に登場した CDN は今、大きな変化を迎えています。Fastly をはじめとする新しいタイプの CDN は、より性能が高いハードウェアや新しいオープンソースツールを活用して革新的なコンテンツ配信ソリューションを生み出しています。
このような最先端の CDN を利用することで、サイトのパフォーマンスを向上させ、コンテンツ配信を高速化し、リアルタイムのインサイトを得ることができます。しかし、従来の CDN では、ビジネスに必要な機能を備えていないコンテンツ配信ソリューションに多額の料金を支払っていたり、支払う必要のない機能のコストが肥大化していたりする可能性があります。
購入を決める前に、検討中の CDN について注意深く調査しましょう。以下に、調査する際にチェックすべきポイントをご紹介します。
どのようなコンテンツに対応しているか
頻繁に変化しない (つまり、あまり更新の必要がない) シンプルなテキストと画像が中心のサイトであれば、一般的な CDN は静的コンテンツを処理できるため、心配する必要はありません。しかし、動的コンテンツ (ユーザーの個人データなど) で構成されている複雑なサイトの場合は、動的コンテンツのアクセラレーションに対応した CDN が必要です。キャッシュ可能な動的コンテンツもありますが、ほとんどの CDN はキャッシュできません。このようなコンテンツは、イベントドリブン型、または人間やマシンのアクションによって生成されます (例えば、ニュースの見出し、価格、株価、スポーツのスコア、API など、更新の頻度が高いコンテンツ)。このようなコンテンツを扱うサイトやアプリケーションの場合、エッジでキャッシュできる CDN が必要です。また、サイトに複数のビデオコンテンツを埋め込む場合、CDN がストリーミングやオンデマンドビデオを処理できること、またはそのようなコンテンツを配信するビデオ・ホスティング・プラットフォームと提携していることを確認する必要があります。どの CDN を選択するにせよ、キャッシュする必要があるコンテンツをすべてキャッシュできることが重要です。
どの地域に対応しているか
まず、顧客の大半がどの地域にいるのかを確認し、その地域から地理的に近い場所に、検討中の CDN の配信拠点 (POP) があるかチェックします。ビジネスに適した CDN を探す場合は、適切な位置に POP があり、ユーザーがどこにいても速やかにコンテンツを配信できるよう、大規模なネットワークがあることを確認しましょう。
どのような種類のハードウェアを使用しているか
高速で強力なハードウェアを使用してネットワークを構築している CDN は、ページの読み込み速度とサイトのパフォーマンスを向上させます。例えば、従来型の回転式ドライブの代わりにソリッドステートドライブ (SSD) を採用している CDN を選びましょう。SSD を使用する CDN は、キャッシュされたオブジェクトをより素早くフェッチし、1秒あたりのリクエスト処理数も多いため、ユーザーは迅速にコンテンツを取得できるようになります。
どのようなレベルのサポートが受けられるか
CDN のサポートチームとは連絡が取れやすいでしょうか。対応しているのは、通常の営業時間内のみでしょうか。電話、メール、チャットでも問い合わせできるでしょうか。CDN のサポートチームに問題を報告してから回答を得られるまでどのぐらいの時間がかかるでしょうか。問題解決にかかる時間が長くなれば、サイトのパフォーマンスが低下する時間も長くなります。必要なのは、時間帯に関係なく、迅速に対応してくれるサポートチームです。本当に優れたサポートチームは、ユーザーより先に問題点に気付き、警告してくれます。
セルフプロビジョニングが可能か
アカウント担当者の手を借りる必要があるでしょうか、それとも担当者を介さずに使用を開始できるでしょうか。すぐに登録してサービスを試すことができる CDN を探しましょう。試してみることで、CDN の機能に関するインサイトを深め、自社のサイトに適しているかどうか見極めることができます。
柔軟性とコントロールを備えているか
検討中の CDN はカスタマイズ可能でしょうか。一部の CDN では、変更を加える度にアカウント担当者と連携する必要があるため、問題が発生しても、チームが俊敏かつ適切に対応できない可能性があります。柔軟性が高く、カスタマイズ可能な CDN は、自分で設定を調整できる言語で構築されており、待ち時間が発生しません。例えば、Fastly は動的 Web アクセラレーターの Varnish をベースに構築されており、変更をすぐにデプロイできる透明性の高いソリューションを実現しています。Varnish Configuration Language (VCL) を使用することで、インテリジェントなキャッシュに特化した設定を作成し、エッジでアプリケーションロジックを実行することができます。Varnish では、こうした設定を即座にロードおよびアンロードできるため、サイトの変更をすぐにデプロイできます。つまり、サポートチームの対応を待つ必要がなく、サーバーのダウンタイムも発生しません。
このブログ記事のはじめに触れたような更新頻度の高いイベントドリブン型コンテンツを含むサイトやアプリケーションでは、この点が特に重要になります。リアルタイムでビジネスを運営し、ユーザーに最新コンテンツを最速で届けたい場合、変更を迅速に設定し、CDN を介してリアルタイムでコンテンツをパージできる必要があります。候補となる CDN を評価する際、リアルタイムで設定およびパージできる機能は必須です。
どのような分析機能が利用できるか
検討中の CDN はどの程度の情報を追跡できるでしょうか。ログをサードパーティのアプリケーションやツールにストリーミングできるでしょうか。CDN の状況を常に把握でき、キャッシュから配信された1秒あたりのリクエストの割合、総リクエスト数、ヒット率、エラー数、ヒット数、ヒット時間、ミス数、ミス時間などの情報を追跡できることが重要です。また、履歴統計とリアルタイムのデータの両方が確認できる必要があります。
どのような統合が可能か
検討中の CDN は他社のプロダクトやサービスとの統合が可能でしょうか。また、オープン API を備えているでしょうか。オリジンサーバーにマネージドホスティングを使用している場合、ログ用ツールや Heroku、Google Cloud Platform などのサードパーティサービスと統合できる CDN が必要です。
ライバル企業が使用しているか
同業の他の企業が CDN を使用している場合、自社サイトと競合サイトの読み込みにかかる時間をテストして比較し、コンテンツ配信において他に他社が優れている点 (または劣っている点) を確認しましょう。相手と同じ CDN を使用することで競争力を維持できるでしょうか、あるいはより優れたソリューションが必要でしょうか。
既存のスタックにどのように統合できるか
非常に優れた CDN は、既存のスタックや分析ダッシュボードの拡張機能として使用できます。適切な CDN を使用することで、シームレスな移行が可能になり、サードパーティベンダーを使用しているというより、サイトの既存のインフラストラクチャに独自の CDN を組み込んでいるように感じられます。既存のワークフローへの統合を簡単にする API を備えた CDN を選びましょう。CDN に合わせて、これまでのやり方を変える必要はありません。
CDN の選択肢はさまざまで、適切な調査を行うには時間がかかります。しかし、自社のニーズに合った最適な CDN を選択することには、時間をかける価値があります。